コロナ禍の地方移転→「首都圏回帰」加速 一極集中が強まる背景は?:帝国データバンクが調査
首都圏への本社移転が増加している。帝国データバンクの調査によると、1〜6月に地方から首都圏へ本社機能を移転した企業は200社となり、過去10年の同期間で最も多いことが分かった。
首都圏への本社移転が増加している。帝国データバンクの調査によると、1〜6月に地方から首都圏へ本社機能を移転した企業は200社となり、過去10年の同期間で最も多いことが分かった。このペースが続いた場合、首都圏への企業移転は1990年以降で初となる400社台に到達する可能性がある。
企業の首都圏「一極集中」強まる見通し なぜ?
一方、同期間に首都圏から地方へ転出した企業は150社で、前年から10.2%減少した。その結果、首都圏への移転企業が転出企業を50社上回る「転入超過」となり、5年ぶりに転入超過が確定する見込みとなった。
地方から首都圏への移転企業で最も多かった業種は「サービス業」で80社に上った。特に「受託開発ソフトウェア業」「卸売業」「小売業」が上位を占めた。一方、首都圏から地方へ転出した企業では「サービス業」が50社で最も多く、特に「コールセンター業務」や「経営コンサルタント業」が目立った。
移転先としては「大阪府」が最も多く、「静岡県」や「愛知県」が続いた。コロナ禍の影響で遠方への移転が目立った時期を経て、首都圏近郊や大都市圏への回帰が顕著となっている。
地方から首都圏に移転した企業を売上高別に見ると、「1〜10億円未満」(84社)が最多となった。「1億円未満」(79社)も急増しており、規模の小さな企業が、首都圏のビジネスチャンスを求めて移転する傾向がうかがえる。一方、首都圏から地方へ転出した企業では「1億〜10億円未満」の企業が最も多く、71社が移転した。
企業の首都圏「一極集中」が再び加速する兆しが見えている。帝国データバンクは「リモートワークの普及により地方移転のメリットが企業経営者に浸透したものの、対面営業活動や採用活動などの重要性が高まる中で、首都圏回帰の傾向が強まっているようだ」とコメントした。
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