わずか1カ月で「AI引用が約1.5倍」 成功事例から見る「AI検索」対策の勝ち筋とは?(2/5 ページ)
多くの企業が「生成AIによってWebサイトへの流入が激減している」という課題に直面している。この変化をチャンスとして捉え、従来のSEOと広告連動型広告だけでなく、生成AIを活用して新しい顧客の獲得に成功する企業も出てきた。
このように、GEOではこれまで以上に幅広い対策が求められるようになる。さらに根本的な差異として、情報の処理方法にも注意が必要だ。従来の検索エンジンが「キーワードマッチング」を基本としていたのに対し、生成AIは文脈を重視するという。
「生成AIは深く文脈を理解するため、検索順位が51位以下のサイトからも数多く引用します。補足情報として周辺にある情報を幅広く収集しているので、文脈に適した情報をきちんと準備することが重要です」(山本氏)
データ分析で見えた、GEOのポイント
では、どうしたらGEOに適したコンテンツを作成できるのだろうか。
山本氏は「データに基づく戦略的アプローチが不可欠」だと説明する。分析元のAIツール選定とプロンプト設計から始まり、データ収集・分析、傾向に基づいた施策提案、そして結果のモニタリングという段階的なプロセスが効果的とされているという。
なお、電通デジタルでは複数企業での分析を通じて「記事詳細ページが引用されやすい」という、SEOでは見られなかった特徴を発見している。
「生成AI対策として、従来はFAQ集の整備が有効とする見解が多い状況でした。しかし、実際にデータ分析をした結果、記事詳細ページの方が引用される頻度が高いことが明らかになったのです」(山本氏)
あわせて、業界ごとに引用される情報源の傾向が異なる特徴も判明した。例えば、人材業界では政府・公共サービス系の情報が引用されやすい。「労働に関する法律について詳しく知りたいというニーズから、公的情報の信頼性が評価されているのでは」と、山本氏は分析する。
一方、金融業界では比較サイトのランキング情報が重視され、飲料企業では商品情報、価格動向、ブランド情報でそれぞれ異なる情報源が参照されている傾向があるという。
さらに、自社サイトだけでなく「他社ドメインも含めた対策アプローチ」が必要であることも判明している。例えば、比較サイトに自社の情報が適切に掲載されているか、などだ。生成AI時代のマーケティングは、そうした細部まで徹底的に考慮できるかどうかが成功のポイントとなっているのだ。
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