わずか1カ月で「AI引用が約1.5倍」 成功事例から見る「AI検索」対策の勝ち筋とは?(3/5 ページ)
多くの企業が「生成AIによってWebサイトへの流入が激減している」という課題に直面している。この変化をチャンスとして捉え、従来のSEOと広告連動型広告だけでなく、生成AIを活用して新しい顧客の獲得に成功する企業も出てきた。
「わずか1カ月」で「AI引用が約1.5倍」を実現した事例
山本氏は、電通デジタルが支援している企業の一つ、ゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO)の事例を紹介した。
従来、GDOでは「ライトゴルファーの獲得」が課題だった。そこで10個のプロンプトグループに対し、それぞれ10プロンプト、計100件のプロンプトでAIの回答を分析し、実際に同社の情報が、どこをどれだけ引用されているかを確認することからスタートした。
その結果、Gemini、ChatGPT、Perplexityの中で最も多くの引用をしていたのがGeminiで、中でも記事詳細ページの引用が多かったと分かった。あわせて、Geminiは他のAIと比べてトップページやサポートページなど、幅広いページタイプから引用する傾向があることも判明した。
プロンプトのトピック別分析では「クラブ・用品選び」「技術・上達・練習」で記事詳細ページの引用が特に多く、「ゴルフ場・コース情報」では直接予約につながるトップページが重視されていた。この結果を踏まえて「AIは、合理的な判断で引用を行っている」と山本氏は評価する。
AIが引用している箇所を細かく分析したところ、記事の中でも「ページの上の方に記載されているもの」「Hタグで強調されているところ」から多く引用している傾向があると確認できた。「結論を冒頭に示し、パラグラフ単位での簡潔な記載が重要」という従来のSEOノウハウが、GEOでも有効であることを示している。
この分析に基づいて、追加するコンテンツを検討し、実際のコンテンツにも反映していった結果、GDOではわずか1カ月で引用数が144%にまで向上した。ゴルフ場・コース情報での引用数が改善するだけでなく、ライトユーザーに対応する初心者向けファッションなども伸びたという。これは、同社が課題に掲げていたライトゴルファー獲得に直結する成果と言えるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
流入「80%減」 AI検索で大打撃を受けたHubSpotは、どうやって“未来の顧客”を取り戻した?
米HubSpotはAI検索の影響を大きく受け、ブログへのトラフィックが80%減少した。同社はどうやって“未来の顧客”を取り戻したのか。ヤミニ・ランガンCEOが語る。
米Google幹部を直撃 年間「5兆回超」の検索は、AIでどう変わるか?
Google検索は、年間5兆回以上も使われている。AIにより「検索」が日々大きく変化している中、プラットフォーマーであるGoogleは今の状況をどのように見ているのか、話を聞いた。
「ストーリー重要」の時代は終わった レイ・イナモト氏が語る、これからのブランド構築の最適解
レイ・イナモト氏はAIが躍進するこれからの時代「“意味”を伝えるストーリーテリングだけでは、もはやブランドは構築できない」と警鐘を鳴らす。
広告業界で急成長する3つのAI活用領域とは? 電通デジタルCAIOに聞く
多くの日本企業が生成AIを業務効率化のツールとして捉える中、電通デジタルは一歩先を歩んでいる。全社横断でAI活用を推進する「AI Native Twin」 という組織を立ち上げ、事業の中核にAIを組み込む。
野村が捨てた「資産3億円未満」を狙え SMBC×SBIが狙う“新興富裕層”の正体
SMBC×SBIが、「Olive Infinite(オリーブ インフィニット)」というデジタル富裕層向けサービスを開始した。野村證券をはじめとする大手証券会社が切った「1億〜3億円層」に商機があるという。



