「困ったことがあれば言ってね」「最近どう?」は逆効果!? リーダーに求められる“テンプレ的”ではない声かけとは(2/4 ページ)
本質的なリーダー像について、元マイクロソフト役員であり、現在までに815社・17万人超の働き方改革を支援してきた越川慎司氏に話を聞いた。
――「できるリーダー」をどう定義していますか?
「できるリーダー」は評価者から高く評価されている人。具体的には、人事評価トップ5%の方々を指しています。われわれは、これらの方々の行動履歴、会議の録音・録画(計3万2000時間)をAIで解析しています。そこから「成果を出す人に共通する行動」が見えてきました。
――具体的にどんな場面のデータを分析したのでしょうか?
社内会議、1on1、顧客との商談などさまざまです。特に重視したのは、「優秀なリーダー」と「そうでない人」の違い。その違いを定量的に可視化していくことで、実践的に役立つデータが得られました。
――リーダーという存在を、どのように定義していますか?
リーダーは「肩書き」ではなく「機能」です。
管理職は職種ですが、リーダーは誰にでもなれる状態や行動だと思っています。例えば、入社1年目でも周囲を前向きに動かす人は立派なリーダーです。
――理想的なリーダーに共通する要素はありますか?
1つは「自走するチーム」をつくれることです。つまり、指示がなくても動けるチーム。これは本にも記載した5つの要素をもとに構成されています(詳細は書籍参照)。
もう1つ、個人的に尊敬するリーダーの特徴は2つあります。
- 「性悪説」ではなく「性善説」で人を見る人
- 「過去」ではなく「未来」に向かって導く人
――その2つについて、もう少し詳しく教えてください。
性悪説に立つと、部下を信頼できずマイクロマネジメントになりやすい。資料を5回もチェックする上司がいたら、部下も上司も疲弊します。一方で、性善説に立つと、「1回見て任せる」姿勢になり、チームに自主性が生まれます。
もう1つの「未来を導く」とは、週報や業務報告など過去の管理ではなく、未来への提案や行動を重視するということです。リーダーはチームをどこに導くのかを示すことが重要です。
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