「困ったことがあれば言ってね」「最近どう?」は逆効果!? リーダーに求められる“テンプレ的”ではない声かけとは(3/4 ページ)
本質的なリーダー像について、元マイクロソフト役員であり、現在までに815社・17万人超の働き方改革を支援してきた越川慎司氏に話を聞いた。
――マイクロマネジメントについては賛否あると思いますが?
私は明確にマイクロマネジメント否定派です。
ただ、部下によっては細かく見てくれることで安心感を覚える人もいますよね。そこにメリットもあるとは思いますが、全体最適ではなく個別最適を意識することが必要だと感じています。
――若手だった頃と今とで、組織に求められる人物像に変化はありましたか?
はい、明らかに変わりました。昔は、言われたことを正確に実行する“実直な人”が評価される時代でした。つまり、上司がやり方を教えてくれて、それを再現できる人が成果を出していたんです。
しかし今は、やり方を上司も経営層も知らないことが多い。決まっているのはゴールだけで、その達成手段を自分で見つける必要がある。だから今は、「自ら考えて動く人」こそが評価されています。
――その変化は、働き方改革の流れとも関係していますか?
大きく関係しています。労働基準法の改正で、残業時間の上限が規制されるようになりました。
つまり、「残業せずに成果を出す」ことが求められる。でも、上司はその方法を知らないから、「残業するな、でも成果は出せ」としか言えない。結果、現場のメンバーが自分で工夫し、無駄を減らし、効率的に成果を出す方法を模索するしかない。この“自走”こそが、今求められているスキルだと思います。
――そうした自走力が低い人はどう成長していくべきでしょうか?
「挑戦」は不要ですが、「実験」は必要です。
多くの人が「失敗が怖い」と言って挑戦を避けますが、私は失敗してもいいから行動を変えて“実験”してみることが大切だと伝えています。
なぜなら、考えずに言われたことだけをやる人は、AIに置き換えられてしまう時代です。思考し、行動し、自らの働き方を進化させていく人が生き残る。これはダーウィンが言う「適応できる者が残る」という進化論とも一致します。
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