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部下育成どうすれば……“プレーヤー業務”に追われる管理職の実態とは?

管理職はどのような悩みを抱えているのか。ALL DIFFERENT(東京都千代田区)およびラーニングイノベーション総合研究所が調査を実施した。

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 近年、企業を取り巻く環境が急速に変化し、管理職に求められる役割も多様化・高度化している。そのような中、管理職はどのような悩みを抱えているのか――。人材育成支援のALL DIFFERENT(東京都千代田区)が調査した。

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管理職意識調査(ゲッティイメージズ)

 調査は、同社が提供する管理職向け研修の受講者を対象とし、531人から回答を得た。

管理職が抱えている悩みは?

 管理職が抱えている悩みについて、最も多い回答は「部下の育成」で51.0%と半数に上った。「部門の成果」(34.7%)、「方針・戦略の浸透」(32.5%)と続いた。また、「特になし」の回答はなかった。管理職は全員、何かしらの悩みを抱えていることが明らかになった。

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管理職としての悩み(ALL DIFFERENT、ラーニングイノベーション総合研究所調べ)

新任とベテランではどう違う?

 管理職のうち、1〜3年目の課長クラスを「新任管理職」、4年目以上の課長クラスを「ベテラン管理職」、部長クラスを「幹部候補」と3つのステージに分類し、ステージ別に違いがあるか調査をした。

 抱えている悩みについては、どのステージにおいても「部下の育成」が最も多い結果となった。

 一方で、新任管理職は「自分のマネジメント知識の不足」が他ステージより17ポイント以上高かった。また、ベテラン管理職では「部下とのコミュニケーション」「上司や経営層とのコミュニケーション」という回答が他ステージよりも高い傾向となった。

 幹部候補においては、「方針・戦略の浸透」が、他ステージより17ポイント以上高い結果に。幹部候補になると、方針や戦略の浸透・実行に対して悩む傾向が強まることが分かった。

 同社は「ステージが上がるにつれて組織全体への影響力が求められる立場となるため、周囲を巻き込みながら方針を伝えていくことに対する難しさに直面する機会が増える。そうした経験を重ねる中で管理職個人の課題から、組織全体の課題へと意識が移り変わっていることが分かる」と分析している。

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【ステージ別】管理職としての悩み(ALL DIFFERENT、ラーニングイノベーション総合研究所調べ)

 管理職として認識している自身の役割について、結果をステージ別に比較した。

 新任管理職、ベテラン管理職は「会社や部門方針を、部下に正しく伝達すること」(新任管理職:65.4%、ベテラン管理職:67.5%)が最も多かった。幹部候補は、「会社の事業計画に対し、部門の戦略を構築すること」が74.5%で最も多く、他ステージより22ポイント以上高かった。

 新任管理職・ベテラン管理職は、会社や部門方針を伝達することを役割として認識している人が多く見られた。一方で、幹部候補になると、会社や部門方針を伝達すること以上に、事業計画や部門戦略を構築することに対して、役割認識を持つ割合が高いと明らかになった。

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管理職として認識している自身の役割(ALL DIFFERENT、ラーニングイノベーション総合研究所調べ)

ベテラン管理職も6割が「プレーヤー業務寄り」

 全てのステージの管理職にプレーヤー業務に費やしている時間の割合を尋ねた。その結果、新任管理職で「プレーヤー業務寄り」とした人は52.9%と半数に上った。また、ベテラン管理職で「プレーヤー業務寄り」とした人は60.2%を占め、新任管理職よりも多かった。

 幹部候補においては、「マネジメント業務寄り」が最も多い結果となり、51.0%。「プレーヤー業務寄り」とした人は29.6%にとどまった。

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管理職の業務バランス(ALL DIFFERENT、ラーニングイノベーション総合研究所調べ)

 「プレーヤー業務寄り」の管理職の悩みの1位は「部下の育成」となり、49.7%に上った。その他、「部門の成果」(36.0%)、「部下とのコミュニケーション」(31.4%)が上位となった。「マネジメント業務寄り」と比較すると、「プレーヤー業務の移管」「プレーヤーとしての業務の成果」に悩みを抱える割合が比較的多い結果となった。

 「マネジメント業務寄り」の管理職においても、悩みの1位は「部下の育成」(52.1%)となった。以降は「方針・戦略の浸透」(38.3%)、「部門の成果」(34.0%)と続いた。

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【業務タイプ別】管理職としての悩み(ALL DIFFERENT、ラーニングイノベーション総合研究所調べ)

 調査は5月20日〜7月17日にインターネットで実施した。

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