人間を雇うより、どれだけ安上がり? サイゼにすかいらーくも導入「配膳ロボット」の人件費効果を計算してみた(3/3 ページ)
コロナ禍以降、外食産業で一気に配膳ロボットの導入が進んだ。各社の現在地や、実際に見込まれる削減効果をまとめていく。
なお、焼肉きんぐでは回転寿司のような「特急レーン」を一部店舗で導入している。2021年から導入を始め、2024年2月時点で13店舗まで広がっている。導入店舗では席の配置も回転寿司店と似たような構図になっているのが特徴だ。
食べ放題形式では、ファミレスよりも配膳数が多くなる。焼肉きんぐは土日だと予約が取れないほどの盛況ぶりで、移動速度の遅い配膳ロボットよりも特急レーンの方がより効率的と考えられる。
店員「0.5人分」の労働力で計算すると……
配膳ロボットは、ここまで触れた業態以外にフルサービス型のカフェや居酒屋などでも導入が進む。例えば、ラーメン店では幸楽苑や北陸地盤の8番らーめんで実績があるが、日高屋や餃子の王将など狭い都市部の店舗では導入実績がない。郊外型店舗など比較的広い店が中心となりそうだ。
配膳ロボットは従業員数で0.5人分に相当すると言われている。配膳と下げ膳しかできないため1人分ではないが、負担が減る分、従業員は他席への配膳や他業務に従事できる。他メディアの取材によると、すかいらーくHDでは導入によりスタッフの歩行数が4割減ったという。
コストが1台300万円・耐用年数5年と想定すると、1カ月当たりの費用は5万円だ。電気代を含んでも、1日につき2000円弱のコストで0.5人の従業員を働かせている計算になる。もし0.5人の従業員を1日雇った場合、時給1200円・営業時間12時間と仮定して7200円であり、月に15万円ほどの人件費削減効果を期待できる。
理想論に過ぎないが、社会保障費分も考慮すると人件費より安いことは明らかである。資金に余力のある大手を中心に、ロボットを活用した自動化は今後も進みそうだ。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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