ANAが新たな生成AIプラットフォームを導入 情報検索時間を「90%削減」見込む
全日本空輸(ANA)は、neoAIが開発した生成AIプラットフォーム「neoAI Chat」を、10月から本格導入すると発表した。
全日本空輸(ANA)は、AIソリューション事業を手掛けるneoAI(東京都千代田区)が開発した生成AIプラットフォーム「neoAI Chat」を、10月から本格導入すると発表した。空港、整備、客室、運航といった航空機オペレーションに関わる部門へ横断的に展開し、業務効率化と顧客体験の向上を目指す。
ANAが新たに導入するAIプラットフォーム 特徴は?
航空機オペレーションの現場では、日々複雑化する業務の中で、膨大な規程から迅速かつ正確に情報を探し出す必要があった。従来、この情報検索は個人の経験値に依存する部分が大きく、時間がかかることが課題となっていた。
この課題を解決するため、ANAは2024年8月から成田空港で「neoAI Chat」を試験的に導入。業務の省力化や的確な判断を支援する有効性が認められたことから、本格導入に至った。
「neoAI Chat」は社内に存在する文書をAIが横断的に解析する仕組みを採用。社員は対話形式で、必要な情報を根拠となる文書と共に瞬時に探し出せる。
ANAでは、本導入により以下の効果を見込んでいる。
規程や過去の議事録などの情報検索時間を従来比で約90%短縮。顧客からの問い合わせにも正確かつ迅速に対応できるようになり、顧客満足度の向上を目指す。
業務効率の向上と価値創造への集中。報告書や教育資料といった定型的な文書作成にかかる時間を約75%削減。創出された時間で、社員は安全やサービスの向上といった、より付加価値の高い創造的な業務に集中できる。
ナレッジ共有・継承による組織力強化。個人の持つ熟練の知識や技術をAIを介して組織全体に共有。経験値に依存しない業務品質の安定化と、次世代への技術継承を図り、グループ全体の組織力を強化する。
安全性と安定した基盤の確保。ANAが管理する自社クラウド基盤上で運用し、機密情報を徹底的に保護。セキュリティを確保しながら、空港・整備・運航などの現場ニーズに即した最先端のAI活用を実現する。
ANAは「これからもAIの力を最大限に活用し、社員一人一人が持つ専門性と創造性を高めていく」とコメント。一方、neoAIは「日本企業が日々の業務の中で実践的にAIを活用し、確実にビジネス価値を生み出せるAI基盤として進化させることで、産業界全体の生産性向上とイノベーション創出に貢献していく」としている。
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