赤字続きの出前館と「2期連続増収、黒字」ウーバーイーツ、どこで差が付いたのか ウーバーだけが一人勝ちを続けられる理由(1/3 ページ)
フードデリバリーの中で、ウーバーイーツだけが一人勝ちともいえる状況が続いている。いったいなぜ、競合である出前館たちを寄せ付けず好調が続いているのか。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
出前館が苦戦している。2025年8月期は売上高397億円と、前年の504億円から約2割の減収となった。営業損失は49.2億円で前年と同じく赤字。最終損失は前年から10億円以上膨らみ、49.7億円である。
売上高は2年連続の減収であり、同社は苦戦の背景にフードデリバリー市場の成長が一服したことを挙げている。一因としては、実店舗よりも価格が高い点があるという。一方で競合のUber Eats Japanは2024年度に2ケタ成長を達成し、黒字化を達成している。なぜ出前館は著しく苦戦しているのか、その背景を探っていく。
すでに成長のピークを過ぎてしまったのか?
コロナ禍では中食需要の拡大や外出自粛によりフードデリバリー市場の規模が伸長。それに伴って出前館の売上高も急激に伸びた。ピーク時の2023年8月期はコロナ禍前の7倍超まで拡大している。
赤字が続いているが、そのこと自体は必ずしも悪いわけではない。ECやフードデリバリーのように競合間でのサービスが画一的で、対応店舗数などの規模がモノをいう業界では「勝者総取り」になりがちだ。そのため、ある程度のシェアを広げるまでは、採算を度外視して広告や設備投資に資金を投入し続けるのが一般的である。
だが、出前館の成長は2024年8月期には止まり、2025年8月期に大きく落ち込んだ。2024年8月期末時点で、2025年8月期の売上高を530億円と同社は予想していたが、期中で下方修正している。
業績に対応するように、出前館のアクティブユーザー数も減少し続けている。2022年8月期末には873万人まで伸びたものの、翌年度は657万人に減少。2025年8月期は四半期ごとに減少し、期末時点で455万人となった。客離れに歯止めがきかない状況だ。
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