赤字続きの出前館と「2期連続増収、黒字」ウーバーイーツ、どこで差が付いたのか ウーバーだけが一人勝ちを続けられる理由(2/3 ページ)
フードデリバリーの中で、ウーバーイーツだけが一人勝ちともいえる状況が続いている。いったいなぜ、競合である出前館たちを寄せ付けず好調が続いているのか。
停滞市場でウーバーだけが一人勝ち?
調査会社のサカーナ・ジャパンによると、2024年の国内デリバリー市場は前年比7.6%減の7967億円だという。近年ではファストフードから和食に至るまで業態問わずフードデリバリーへの対応が進み、需要拡大が一巡したほか、インフレで節約志向が高まり、市場規模は縮小傾向にある。
だが前述の通り、ウーバーイーツは比較的堅調だ。2023年〜24年度は2ケタ成長を達成。赤字続きの出前館をよそに、2年連続で黒字も達成した。加盟店数はウーバーが12万店以上であるのに対し、出前館は2022年時点で11万店突破を発表している。店舗数に著しい差があるわけではない。
フードデリバリー各社のサービス内容は、基本的に同じだ。価格では出前館が商品代金のほか、配達料がかかるのに対し、ウーバーは配達料に加えてサービス料を加算している。手数料は変動価格制であるものの、両者とも1回の注文に最大500円程度かかるのが一般的だ。
商品代金がそもそも店頭価格より高く設定されていることも多い。なお、出前館、ウーバーのどちらかが高いという意見はあまり聞かれず、料金差が業績に影響を与えたとは考えにくい。
ウーバーと出前館、明暗が分かれた理由
では、何故両者の明暗が分かれたのか。一因として、参入時期に差があったことが挙げられる。
ウーバーイーツは2016年に日本に上陸した一方、出前館の運営会社は1999年設立となっている。しかし、当初の出前館は出前情報を載せるポータルサイトを運営しており、配達機能は有していなかった。ウーバーと同じようにアプリで注文、決済、配達までを完結できるサービスを開始したのは2017年で、ウーバーより1年遅い。「フードデリバリーといえばウーバー」という認識が定着し、知名度の差が後の状況に影響したと考えられる。
また、フードデリバリー市場では配達員が背負うリュックの「Uber Eats」というロゴが宣伝効果を発揮したといわれている。一方、出前館のリュックは「Demaecan」と印字してある。日本語をアルファベットで表記しており、読みにくく感じる。Ifの話にはなるが、「出前館」のロゴを使用している方が宣伝効果は大きかったかもしれない。
さらに、各社ともサービス内容が同じなので、利用者は最初に使ったサービスを継続して使いがちだ。ウーバーは認知度を武器に客を先取りした結果、好調を維持していると思われる。出前館のアクティブユーザー数減少は、前述の物価高による利用控えに加え、複数のアプリの利用者がウーバーのみを使うようになった動きを反映している可能性がある。
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