連載
赤字続きの出前館と「2期連続増収、黒字」ウーバーイーツ、どこで差が付いたのか ウーバーだけが一人勝ちを続けられる理由(3/3 ページ)
フードデリバリーの中で、ウーバーイーツだけが一人勝ちともいえる状況が続いている。いったいなぜ、競合である出前館たちを寄せ付けず好調が続いているのか。
起死回生のカギはあるのか
出前館の業績は赤字続きだが、LINEや傘下のファンドがたびたび出資しており、自己資本比率は7割超で財務は健全だ。とはいえ、ウーバーが市場を押さえ、黒字化も達成したことから、勝者総取り合戦の勝者が決まりつつあるといえるかもしれない。
ECではAmazonと楽天が拮抗している。両者とも似たようなサービスではあるものの、後者は「楽天経済圏」を築き上げている。楽天カードの利用者がポイント目当てに楽天を使用するため、Amazonに対する優位性を維持している。
対する出前館にはそのような優位性がほとんどない。LINEとの連携はできるが、効果は低い。9月から一部店舗で宅配商品を店頭価格と同額で提供するサービスを開始したが、同サービスはウーバーの方が5カ月も早く実施している。
「デリバリーといえばウーバー」という認識が広がっている以上、新規ユーザーに出前館のアプリをインストールさせるのも難しい状況だ。「LINEアプリ上で出前館を利用できる」といった革新的な取り組みがない限り、出前館の復活は難しいと筆者は考えている。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ビッグマックが1000円超 ウーバーや出前館が地方でなかなか浸透しない理由
フードデリバリーが岐路に立たされている。コロナ禍をピークに、需要が減退したことも大きいが、それ以上にマズい、ある課題が浮かび上がってきた……。
配達員トラブル多発のウーバーが、「不祥事相次ぐセブン」と妙に重なるワケ
街中でちょいちょいトラブルを起こしているウーバーイーツに、「ルール整備」を求める声があがっている。配達員の危険運転が問題になっているわけだが、筆者の窪田氏は「ウーバーとセブン-イレブンは同じ匂いをしている」という。どういう意味かといと……。