OpenAIが目指す「進化版ChatGPT」とは? 「AI時代のOS」になり得るか
米OpenAIのSam Altman(サム・アルトマン)氏は、今後のAIモデルを「オペレーティングシステム(OS、基本ソフト)のようなものにしたい」と語った。OSのようなAIモデルとはどんなものなのだろうか。同氏によると、若い世代は既にChatGPTをOSのように使っているという。
セコイアキャピタルのイベント「AI Ascent」に登壇した米OpenAIのSam Altman(サム・アルトマン)氏は、今後のAIモデルを「オペレーティングシステム(OS、基本ソフト)のようなものにしたい」と語った。
OSのようなAIモデルとはどんなものなのだろうか。同氏によると、若い世代は既にChatGPTをOSのように使っているという。
Altman「20歳と35歳のChatGPTの使い方に、驚くほどの違い」 なぜ?
同氏は「20歳と35歳のChatGPTの使い方に、驚くほどの違いがある。AIに対するジェネレーションギャップがすごい」と言う。同氏によると、年配者はChatGPTをGoogle検索の代わりに使う。20〜30代は人生の相談相手として、大学生はコンピューターのOSのように使うのだと言う。
「若者は、複雑な方法で大量のファイルをChatGPTに接続しているし、複雑なプロンプトを記憶している。ChatGPTに質問することなく人生の決断を下さない。家族、友人知人の関連情報や、彼らが何を言ったのかを全部メモリに記憶させている」
OSの役割は、アプリに必要な機能のうち多くのアプリに共通した機能を提供すること。カメラ機能やテキスト入力機能など、多くのアプリが必要とする機能をOS側で提供することで、アプリ開発者の開発の手間が省ける。
若い世代は、ChatGPTのメモリに個人的な情報を豊富に蓄積させておくことで、あらゆることを質問しているようだ。ChatGPTは、人生相談アプリから、転職アドバイザーアプリ、星占いアプリ、旅行企画アプリ、恋愛シミュレーションアプリ、家庭教師アプリなど、さまざまなアプリの役割を果たしてくれる。そのベースとしての共通機能である、知性、幅広い情報、蓄積された個人情報などをChatGPTが提供する。そういう意味で「AI時代のOS」のような使われ方だと言える。
「AI時代のOS」、それが具体的にどのようなものになるのか、Altman(アルトマン)氏にもまだはっきりとしたビジョンはないようだ。「僕たちにもそれがどんなものか、まだ完全には分かっていない。霧の中から現れてきているような感じ。そこにたどり着くまでに何度かの試行錯誤が必要だが、それがわれわれが望む方向性だ」と語っている。
同氏はそれを「HTTPレベルのプロトコル」や「コアAIサブスクリプション」「パーソナルAI」「APIもしくはSDKのようなもの」などと形容している。HTTPとはインターネットの通信規約で、特定の回線部分に障害があるとそこを迂回してデータを届けることができる通信上の約束事であり、それがないとインターネットの信頼性が損なわれるような重要な通信規約である。
APIとはコンピューターシステム間でデータをやり取りするためのソフトウェアの窓口のことで、SDKとはソフトウェア開発キットのことだ。OpenAIが開発する「AI時代のOS」を使って、データのやり取りが行われ、アプリが開発されるようになるというわけだ。
もちろん今のレベルのChatGPTは、まだ完全な「AI時代のOS」にはなり得ていない。本人認証、ペイメント、データ転送などの機能を持たせる必要があることは、Altman氏も認めている。
そうした必要な機能やプロトコル、API、SDKをOpenAIがサードパーティの開発者に提供することで、「物事がフェデレーテッド(分散型)になって、もっとずっと小さなコンポーネントに分解されて、エージェントが常にいろいろなツールや認証、支払い、データ転送などを公開したり使ったりしているような状態。そして、それが全て信頼されたレベルで組み込まれていて、全てが全てと通信できる、という状態になる」と同氏は語っている。
果たして進化版ChatGPTは「AI時代のOS」になり得るのか。Altman氏は「インターネットの重要なプラットフォームを構築できる立ち位置にいる」と言う。確かにOpenAIがその立ち位置にいることは間違いない。果たしてOpenAIの独壇場になるのか。モバイル時代のiOSとAndroidのように、複数のOSの寡占状態になるのだろうか。
本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞OpenAIが目指す「AI時代のOS」(2025年5月17日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
© エクサウィザーズ AI新聞
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