もう、ショッピングセンターはバンバンできない! オープンから3カ月で退店のテナントも…… 厳しすぎる“戦国時代”に突入したワケ(5/5 ページ)
国内SC(ショッピングセンター)が減少中だ。一方で売り上げが増えており、背景には既存施設のリニューアルに注力する各社の努力がある。SCの今後について、専門家が解説していく。
さらに追い打ちをかける事情も
「慢性的な小売り・サービス業での人手不足」も、SC開発が減る要因です。日本ショッピングセンター協会の調査では、ディベロッパーのうち84%が従業員不足(「やや不足」と「不足」の合計)と回答しました。
SCを新規開業しても、出店するテナントが店頭スタッフを集められないのです。やむを得ず既存店のスタッフが兼務したり、本部社員が応援に入ったり、スキマバイトで埋めるなどギリギリの対応を迫られています。人手不足が原因で、テナントによっては出店後3カ月程度で退店するケースも珍しくありません。
このような状況が続いているため、今の日本では新規開発はとりやめ、既存施設のリニューアルや増床によって売り上げを拡大していくことが常態化してきました。日本のSCは当面の間、既存の不動産価値を高めて、資産価値の向上を目指すという動きが中心になりそうです。
著者プロフィール
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。直近では著書『図解入門業界研究 最新 アパレル業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本[第5版]』を刊行した。
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