「廃虚アウトレット」の乱立、なぜ起こる? 絶好調なモールの裏で、二極化が進むワケ(1/4 ページ)
業績を大きく伸ばすアウトレットがある一方で、ほとんど人も来ず、空きテナントだらけのアウトレットが増えている。その原因は何なのか?
本連載について:
都市ジャーナリストでチェーンストア研究家の谷頭和希氏が、現代のビジネスシーンを深く掘り下げる。都市再開発の成功例や課題、企業戦略の変化、消費者文化の進化に注目し、表面的な現象だけでなく、その背後にある背景を探る。日々変化する消費トレンドを通じて、社会や企業の動きに迫り、これからのビジネス環境や戦略について考えさせられる視点を提供していく。
軽井沢・プリンスショッピングプラザ(以下、軽井沢アウトレット)の2024年度売り上げが過去最高を記録した。売上高は前年から4.4%増の590億円、3年連続で過去最高を更新した。2024年の物価上昇指数が2.5%だったことを踏まえても、その伸びは著しい。
軽井沢アウトレットに限らず、国内の大手アウトレットモールは好調が続いている。三菱地所・サイモンが国内10カ所で運営する「プレミアム・アウトレット」も、2024年度のテナント売り上げが過去最高を記録した。さらに、三井不動産が運営する「三井アウトレットパーク」も、複数の施設で増床やリニューアルオープンを積極的に行っている。
一方で、残酷な現実もある。「廃虚アウトレットモール」とも呼ばれる、いわゆる「デッドモール」の乱立だ。大手が積極的に出店を続ける一方で、中小事業者によるアウトレットモールや、立地で劣勢に立たされたモールの淘汰(とうた)が急速に進んでいる。その結果、ほとんどテナントが入っておらず、異国風の建物だけが悲しくたたずんでいる……という場所が、全国には複数ある。
本稿では、こうした「二極化」が進むアウトレットモールの現状を、現地の写真とともに紹介したい。
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