「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地:業績は好調でも不安要素あり(1/7 ページ)
インバウンド需要が旺盛で、日本の観光業界が盛り上がりを見せています。では、航空会社の業績はどうなっているのでしょうか。JALとANAの決算をベースに分析したところ……。
著者プロフィール:
カタリスト投資顧問株式会社 取締役共同社長/ポートフォリオ・マネージャー
草刈 貴弘
大学卒業後、舞台役者などを経て2007年にSBIリアルマーケティングに入社。2008年にさわかみ投信に転じ、顧客対応部門、バックオフィスの責任者、アナリスト、ファンドマネージャーを経験し、2013年に最高投資責任者、運用調査部長、2015年取締役最高投資責任者に就任。2023年3月に現職のカタリスト投資顧問に入社し、同年6月に取締役共同社長に就任。
投資先企業の企業価値向上に直接寄与することで、日本企業の成長と資本市場の活性化と、個人投資家の財産づくりを両立することを志向する。ファンダメンタル分析を基にしたバリュー投資を軸に、持続的成長の転換点を探るのをモットーとする。現在、朝日インテック社外取締役。東洋大学理工学部卒。
年末年始、家族で国内外を旅行した方も多いのではないでしょうか。数年前のコロナ禍がまるでうそだったかのように、海外旅行に行く方の姿や帰省ラッシュの報道を目にするなど、これまで通りの年末年始が戻ってきました。
近年では、インバウンド需要も旺盛で、日本の観光業界や航空業界も盛り上がりを見せています。空港の混雑ぶりや国際線の新規就航のニュースからも、コロナ禍で打撃を受けたこれらの業界も回復基調であることがうかがえます。
実際、2024年3月期のANAホールディングス(以下、ANA)の決算は過去最高益。日本航空(以下、JAL)も大幅な増収増益となっています。しかし、両者の財務諸表を見ると、意外にもインバウンド需要などによる好調ぶりを、手放しで喜べる状況ではないことが分かりました。
今回は、2000年代に起こった米国同時多発テロやイラク戦争などの外的要因がどのようにJALとANAの財務に影響を与えたのか。航空業界にとって大きな試練となったコロナ禍を両者がどのように乗り越えたのか。また、今後見通しがなぜ手放しで喜べない状況と考えるか、解説します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「牛丼500円時代」の幕開け なぜ吉野家は減速し、すき家が独走したのか
牛丼の価格戦争――。この言葉を目にすると「懐かしいなあ」と感じる人も多いかもしれないが、いまや「500円時代」の足音が聞こえてきた、といったところでしょうか。牛丼チェーン3社の業績を見ると、明暗がわかれているようで。なぜ「金の卵」を守れなかったのか 東芝と日立、明暗を分けた企業統治のあり方
半導体大手のキオクシアHDが、株式上場を遅らせると発表しました。キオクシアの旧社名は「東芝メモリ」。「金の卵」ともいえる事業を、なぜ東芝は手放したのでしょうか。7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。ニトリはなぜ「就職ランキング」で1位なのか 見落としてはいけない“会社の数字”
「就職企業人気ランキング」を見ると、「ニトリ」が1位になっているデータも。人気の総合商社や金融機関を押しのけて、なぜニトリが上位にランクインしているのか。会社のデータを見ると……。