サイゼ、ガスト、バーミヤン…… コロナ禍で姿を消した「深夜営業」が続々と復活し始めている理由(1/3 ページ)
コロナ禍で感染拡大防止の意味合いもあって姿を消した「深夜営業」だが、ここにきてファミレスを含めた各社が復活させ始めている。一体どんな背景があるのだろうか。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
今年に入ってからサイゼリヤが都内の各所で深夜営業を再開するようになり、SNSで話題を呼んでいる。サイゼリヤはコロナ禍で午後10時以降の営業を取りやめるとしていたが、2023年ごろから午後11時まで延長する店舗が現れた。現在、都内は午後11〜午前0時まで営業する店舗が多い。
仙台地盤のすしチェーン「平禄寿司」も10月17日に開業した銀座店の営業時間を午前5時までとし、同チェーンとして初となる深夜営業を開始する。コロナ禍以降、感染防止対策や人手不足などを理由に飲食店の深夜営業廃止が進んだが、近年になって再開する動きがみられる。
少しずつ、深夜営業の店が増えてきた
サイゼリヤは需要がなくなったことなどを理由に、2011年に24時間営業を全店で廃止した。コロナ禍では2020年6月に全店で営業時間を最長で午後10時までとし、緊急事態宣言下では一部店舗の閉店時間をさらに繰り上げた。
時短営業は一時的な措置としていたものの、2021年には午後10時以降に営業しないと正式に決定。当時は外食産業で客足が回復しておらず、テレワークの推進や自粛ムードもあり、深夜の需要も減少していたと思われる。
冒頭の通り、ここ数年は午後11時まで延長する店舗が出始めている。とはいえ一斉に延長したのではなく、店舗ごとに営業時間を伸ばし始めた時期は異なる。2025年からは、歓楽街付近を中心に深夜営業を再開する店舗も現れた。現在では新宿、秋葉原のほか、渋谷、錦糸町などの店舗が午前5時まで営業している。
JR東日本によると、秋葉原駅の乗車人員数(1日当たり)は2019年度の24.8万人からコロナ禍で20万人を割り、直近の2024年度も22.1万人となった。同様に錦糸町駅もコロナ禍前の水準に少しずつ戻りつつあり、営業時間の延長を決めたと思われる。
「ちょい飲み」需要を確立した日高屋を展開するハイデイ日高の業績が好調なように、飲酒需要は回復している。サイゼリヤを居酒屋代わりに利用する客も多いため、彼らの需要を取り込む狙いもあるのだろう。
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