人件費なんと「年270億円」増加! JR東“本気の人事制度改革”の中身(1/2 ページ)
JR東日本が、人事・賃金制度を大改革する。年間の単体人件費を270億円以上増額し、10年先を見据えた新制度を打ち出した。制度の詳細を広報担当者に聞いた。
JR東日本が、人事・賃金制度を大改革する。同社はこれまでも数回の改正を実施してきたが、基本となる部分は国鉄由来の人事・賃金制度を維持。そのため、「社員の意欲や活躍をすぐに評価に反映できない」「多様な人材が活躍しきれていない」という2つの課題が生じていたという。
そこで同社は2022年度から人事・賃金制度の改革に着手。年間の単体人件費を270億円以上増額し、10年先を見据えた新制度を打ち出した。制度の詳細を広報担当者に聞いた。
人件費を270億円以上増額 10年先を見据えた新制度とは?
賃金面ではまず、大卒初任給を引き上げる。東京都在住の場合、総合職が30万円(従来は27万5300円)、地域総合職が28万5000円(同26万5755円)となる。初任給を引き上げた理由について、広報担当者は「技術系の社員を中心に、採用競争力を確保するため」と説明する。新入社員と既存社員の賃金の逆転が生じないよう、既存社員の職務能力給に勤続年数に応じた金額を加算する移行措置を講じる。
基本給は、「職務能力給」へ改める。社員が職務の遂行を通じ能力を伸長させて、成長することが会社の成長の原動力となるという考え方によるもので、昇給額を職責に応じて6つに区分。1年間の社員の業務への取り組みや成長、成果を細かく昇給に反映できるようにした。
その上で、業務に資する資格の取得も、社員の能力の伸長につながるという考えから、一時的な手当ではなく、職務能力給に一定額を加算する制度も設けた。「高度な技術力や専門性を持つ人材の獲得・定着を目的としたもの」(広報担当者)で、技術士、電気主任技術者(一種)、不動産鑑定士など20以上の資格を加算対象とする予定だ。
その他、これまでには手当の対象となっていなかった業務にも、社員それぞれが担う役割を踏まえた手当を新設。子ども1人につき2万円を支給する子ども手当や、居住地を基準とした住宅等手当も制度化する。
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