デキる社員ほど壊れてしまう? 上司が知らない「3つの過度」:デキる上司がデキる部下を潰す(6/6 ページ)
「デキる社員」が育っても辞めてしまう――そんな会社は少なくない。飛躍的に成長し続ける企業と、伸び悩む企業の違いはどこにあるのか。社員の心身不調、上司との距離感、過度な負担――その構造を解き明かす。
上司と部下との距離感
いざという時は頼りにするつもりであった上司から突き放された部下は孤立し、メンタルをやられてしまいます。基本的にデキる部下は、自分で自分のことは解決してしまう自己完結型が多いため、そもそも他人に相談をすること自体があまりありません。その人間が相談をしにくるというのは、余程のことだ、という意識をお持ちいただくことが上司の方には必要です。
「過干渉」は、デキる部下は自分で考えて自分で行動ができ、それで結果も出せているため、ある程度自由な裁量を得られる環境を求めています。そこに100%上司が張り付いて「良かれと思って」あれこれと指導をしてくることで、表現としては「息苦しく」なっていきます。そしてデキる部下ほど「上司には逆らってはいけない」という発想がありますから、断れないままに気持ちがどんどん追い込まれ、窒息しそうな状態に陥りメンタルをやられてしまいます。
上司と部下との距離感は、計算式のように明確にあるものだと考えず、常に「明確な答えがないもの」として接することが重要ですが、実はシンプルな目安はあります。それは部下に対して「敬意」を持ち、「見守る」ということです。
部下も一人の人間、一人の職場仲間だと思い、敬意を意識するだけで、声掛けする言葉の選択も、距離も、その時々によって「最適な」ものが決まります。敬意を意識したコミュニケーションをとることで距離感の悩みの多くは解決できます。これらについても本書でより具体的な方法を提示していきます。
上司と部下の距離感の3つのパターン
(1)放任(潰れる可能性あり)
(2)過干渉(潰れる可能性あり)
(3)見守り(潰れる可能性低)
著者プロフィール:前田康二郎
流創株式会社代表取締役。数社の民間企業にて経理業務を中心とした管理業務全般に従事し、2008年に経理部長としてIPOを達成。その後中国・深センに駐在。現地法人の設立、内部統制業務などに携わった後、2011年に独立。独立後はリーマンショック後、経営難に陥っていた企業の経営再建案件等に従事。実際に会社の組織へ入り、実務面を中心とした組織全体の業務改善や計数チェックを行うと同時に、経営者や従業員へ、経理的視点から見た、黒字化に必須な「経理的マインドセット」の指導を実施。数字を意識した行動に会社全体が変わることで業績も変わり、黒字化を達成し、自走できる組織へと改善させている。現在は、ベンチャー企業、IPO準備企業等の顧問、社外役員なども兼務している。
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