大企業と中小企業で異なる広告の目的 「認知広告」の効果に対する見方は?
企業の広告戦略において、目指す成果は企業規模によってどれほど異なるのだろうか。成果の測定や目的設定の難しさが指摘される中、大企業と中小企業それぞれの視点から実態を探る調査をMacbee Planet(東京都渋谷区)が実施した。
企業の広告戦略において、目指す成果は規模によってどれほど異なるのだろうか。成果の測定や目的設定の難しさが指摘される中、Macbee Planet(東京都渋谷区)が「広告の“目的と成果”に関する実態調査」を実施した。
大企業と中小企業で異なる「広告の目的」
広告出稿の主目的について、大企業で最も多い回答は「商品・サービスの認知向上」となり、57.9%に上った。「企業認知・イメージ形成」(54.4%)が続き、認知を重視する傾向が見られた。
一方、中小企業では「商品・サービスの認知向上」が最も多く53.4%。その他、「見込み客の獲得・育成」(40.5%)が上位となり、より行動成果に直結する目的志向が強い結果となった。
認知目的の広告は成果につながると「思う」とした人は、大企業では85.6%、中小企業では88.2%に上った。一方で「認知広告は評価が難しい」という回答は大企業・中小企業ともに約9割に達し、成果を感じつつも「測れない」という矛盾を抱えている現状が浮き彫りになった。
ブランディング広告の成果を測定する指標について、大企業では「(企業・商品・サービスの)認知度」(54.8%)や「広告認知率・想起率」(40.3%)など、調査ベースの指標が上位となった。
中小企業では、大企業と同様に「認知度」(47.5%)が最も多いものの、「店頭・Webサイトへの来訪数」(39.2%)や「購入・契約数」(32.6%)といった、行動データ中心の評価が多く見られた。
また、成果の定義について、大企業では「好意度」(29.5%)や「認知率向上」(24.1%)が挙がったのに対し、中小企業では「来訪」(25.8%)や「購入」(19.9%)を重視する傾向が見られた。
ミドルファネル(商品やサービスに興味を持った顧客が、購入に向けて他社製品と比較・検討する段階)向け施策を「重要視する」とした人は、大企業では81.0%、中小企業では78.1%に上った。
ミドルファネル向け施策として有効だと感じる手法については「比較サイトやレビューサイト」(大企業53.7%/中小50.8%)が最も多い結果となった。次いで、「オウンドメディア」「SNSでの口コミ・動画投稿」「AI概要(検索結果上部のAI要約)」など、ユーザーの検討行動を支援する手法が上位となった。
ミドルファネル向け施策は認知と獲得の両方の成果を得やすいと「思う」とした人は、大企業では78.1%、中小企業では76.4%となった。また、今後のミドルファネル向け施策の投資意向について、「増やしたい」とした割合は、大企業では59.4%、中小企業では61.2%となった。
調査は9月19〜30日にインターネットで実施。企業でマーケティング業務に従事する担当者1085人(大企業542人/中小企業543人)から回答を得た。
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