4人に1人が「静かな退職」予備軍 希望ポジション不在で“埋もれ続ける”人材の実態とは?
「自分の力を発揮できていない」。そう感じながら、与えられた業務だけを淡々とこなす「静かな退職」予備軍が増えているーー。希望するポジションが存在せず、実力を埋もれさせたまま働くビジネスパーソンの実態が、Thinkings(東京都中央区)の調査から浮かび上がった。
「自分の力を発揮できていない」。そう感じながら、与えられた業務だけを淡々とこなす「静かな退職」予備軍の存在が指摘されている。希望するポジションが存在せず、実力を埋もれさせたまま働くビジネスパーソンの実態が、採用管理システムを手掛けるThinkings(東京都中央区)の調査から浮かび上がった。
自分の能力が十分に「生かされていない」4割超
現在の部署の業務で、自分の能力が十分に「生かされていると思う」とした回答者は55.7%だった。一方で、「生かされていないと思う」としたのは44.3%となり、能力が生かされていない「埋もれ人材」は全体のおよそ4割を占めることが明らかになった。
業務に対する姿勢について、最も多い回答は「期待される業務をこなすことを第一に考え、余裕があればそれ以外の業務も対応しようとしている」となり、56.9%に上った。一方で、「期待される業務はこなそうと努力するが、それ以上の努力や関与を極力避けるようにしている」とした、いわゆる「静かな退職」の予備群は24.6%となり、約4人に1人に上る結果となった。
社内公募制度が打開の切り札に?
「静かな退職」解消の切り札の一つとして考えられるのが、社内で空きの出た部署やポストを公開し、社員が異動希望を出せる社内公募制度だ。
勤務先にこうした社内公募制度があるとした回答者は43.4%だった。「社内公募に応募して希望通り異動できた」は11.1%、「社内公募に応募したが異動できなかった」は9.2%だった。
社内公募による異動をして「会社への満足度が上がった」という回答は40.0%を占めた。「やりたかった仕事ができるようになった」(37.5%)、「能力を発揮できるようになった」(25.0%)といった回答もあった。
社内公募について、自分の能力が十分に「生かされていると思う」とした「能力発揮人材」と「生かされていないと思う」とした「埋もれ人材」でクロス分析を実施した。
その結果、「社内公募に応募したが異動できなかった」とした回答者は、「能力発揮人材」では7.5%、「埋もれ人材」では12.5%となり、「埋もれ人材」の方が5.0ポイント(約1.6倍)多い結果に。また、「社内公募に応募して希望通り異動できた」とした回答者は、「能力発揮人材」では15.0%、「埋もれ人材」では5.9%と、「能力発揮人材」の方が9.1ポイント(約2.5倍)多かった。
同社は「社内公募による異動をきっかけに『埋もれ人材』が『能力発揮人材』に変わる可能性を示している。一方で、社内公募による異動をしても『埋もれ人材』のままの人も一定数存在する」とコメントしている。
調査は9月3〜5日にインターネットで実施。ビジネスパーソン1069人(全国の従業員1000名以上の企業に勤務する一般職)から回答を得た。
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