相次ぐ「モバイルバッテリー」の発火事件 7割以上の若者が携帯してるというデータも 関連ビジネスが伸びる背景とは?(1/3 ページ)
発火事故が相次ぐモバイルバッテリー。経済産業省もついに対策へ乗り出した。周辺事情をまとめていく。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
経済産業省が12月から、安全表示義務に違反している疑いがある電気製品のメーカーや輸入業者を公表する。モバイルバッテリーなどが対象で、近年の相次ぐ発火事件を受けて対策に乗り出したとみられる。
10月下旬には中国モバイルバッテリー大手、Ankerがバッテリーを中心に計4製品・約52万台を自主回収すると発表した。一部商品に危険性があるとはいえ「スマホの充電が1日もたない」という人が多く、根強いニーズがあるモバイルバッテリーは、レンタルサービスも普及している。そんなモバイルバッテリーを取り巻く昨今の状況を追っていく。
リチウムイオン電池が発火する2つのパターンとは
モバイルバッテリーの事故が相次いでいる。10月6日には京都駅近くのホテルでモバイルバッテリーが発火し、約1400人が避難した。出火した部屋の宿泊客は「海外製で現地の安全基準を満たしたもの」と説明したようだが、燃え方が激しく、製品の特定には至っていない。
モバイルバッテリーに用いられるのはスマホやPCなどと同じリチウムイオン電池である。発火するのは次の2パターンが想定されるが、材料に不備がある場合、発火する危険性が高まるとされる。
1つ目は周囲から熱が加わるパターンだ。夏の車内や直射日光下に放置した場合、リチウムイオン電池中の電解液から可燃性ガスが発生し、ガスに熱が加わって発火する。
2つ目は連続使用によるセパレーターの劣化で、正極と負極が直接接触して「ショート」が発生。これにより熱が発生し、電解液に引火する。
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