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賃上げが伸び悩む一方で進む物価高 企業が「値上げ」で注意すべきこととは?(2/3 ページ)

実質賃金がなかなか伸び悩む中で、企業は値上げを敢行する必要がある。その際、注意すべきこととは?

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値上げをすると、業績にはどう影響する?

 定価販売が中心のコンビニ最大手であるセブン-イレブン・ジャパンは、2025年2月期の業績が営業総収入1.7%減、営業利益は6.9%減にて減収減益となっています。スギ薬局を展開するスギホールディングスの2025年2月期売上は前年比117.9%、営業利益116.2%で増収増益を達成しています。

 ドラッグストアは飲料や食品、菓子を中心に低価格で提供して集客商品とし、薬や調剤薬局という主力商品で利益を確保する購買動線と利益のバランスが良いのが特徴です。それに加えて化粧品や日用品(洗剤など)を拡充して女性客からも支持を集めています。

 主要企業の業績を見ると、やはり低価格ニーズが強いようです。一方、ドン・キホーテの個店別価格設定(ダイナミックプライシング)、スシローの立地別価格設定、ドラッグストアのカテゴリー別価格帯と購入組み合わせの最適化など、各社が工夫しています。

 好調な企業に焦点が当たりがちですが、この裏では、値上げをしたことで顧客離反を引き起こした企業が存在することも事実です。

 その要因は至極シンプルです。例えば、150円の商品を180円に値上げした場合、20%値上げしたことになります。仮に20%の値上げで20%が購入を止めたら利益はどうなるでしょうか。粗利率が30%とし、当初10人の顧客が購入していた場合、150円のときの粗利は450円ですが、180円にした場合は432円となり、4%も粗利が減ることになります。もちろんこの離反が20%ではなく10%にとどまっていれば粗利は値上げした方が多くなります。

 この値上げ幅と顧客離れ、利益の構造のバランスをよく吟味しながら値上げをしなくては、大きな損失を生むことになります。特に食品や飲料は、チャネルによって価格幅があるため、自社の値上げ幅のみならず、チャネル間における価格差を綿密に調査する必要があります。

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