2015年7月27日以前の記事
検索
特集

「決算に誤り」の危機も救った ツルハHD“たった一人”の非デジタル人材が進めたDXの軌跡(2/3 ページ)

全国に約2650店舗を展開するツルハホールディングスでは、長い間店舗のデータを社内システム、各部門が管理するExcel、紙などに分散管理していた。 “悲惨”だった同社の店舗データ基盤を整理し、たった一人で“神様データ”へと変貌させる「ひとりDX」を成し遂げた、財務経理本部 IR・予算管理部部長 若林慧氏に聞いた。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

どうやってデータを整備したのか

 ツルハHDは、ドラッグストアの他に調剤薬局も運営する。ドラッグストア内に調剤薬局を併設する店舗もある。

 また、ドラッグストアだけだった店に調剤薬局を併設するなど、オープン後に業態を変える店舗もあるため、「店舗の業態の変更や追加に柔軟かつシームレスに対応できる仕組みが求められた」と若林氏は振り返る。

さまざまな業態
ツルハホールディングスが運営する店舗は1業態だけではなく、しかも業態が入れ替えることもあるなど、マスタを作るにしては複雑である(提供:ドリーム・アーツ、以下同)

 そこで開発したのが、親子別のデータベースからなる店舗マスタアプリだ。

 店舗名や電話番号、住所といった店舗ごとの基本情報は“親”データベースである「基本DB」に、業態区分など業態に関する情報は“子”データベースの「運営情報DB」に格納した。運営情報DBにある基本情報は自動連携する仕組みだ。

親子
親子データベースに分けることで、柔軟性を高めた

 途中で業態が変わる場合は「文書改定申請」アプリで申請するようルール化した。アプリで申請した内容が承認を経ることで、変更箇所が基本DBと運営情報DBに反映される。

申請アプリ
申請アプリを作ることで、データ変更時の透明性を高めた

 「作成したデータベースは、全社で唯一信頼できる店舗マスタデータ──“神様データ”となった」と若林氏。

 「当初は、自分の業務効率化のために始めた店舗マスタデータの整備だったが、正確な情報が格納されていることもあり、『〇〇エリアの、店舗併設の調剤薬局はいつ開店する?』といった問い合わせが来るなど、次第に社内へと広がって重宝されるようになっていった」(若林氏)

 当時の上長であった経営戦略本部 経営企画部部長 河原高志氏は動画インタビューの中で、「店舗データがExcelで管理されていることに驚いたが、それが10人10様のルールで作られていた。IR部門ですら、他部署のデータを見て答え合わせをしているような状態だった。いつかは店舗情報をまとめて、全体の最適解として構築しなければならないと考えていたので、彼(若林氏)の取り組みには期待していた」と語った。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る