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なぜ、セブンは一部店舗で“要塞レジ”を導入したのか 開発期間は3年 ある種の威圧感はカスハラにも効果あり?:【2025年メガヒット記事】(3/3 ページ)
セブンが一部店舗で、要塞のようなレジなどを中心に防犯対策を強化している。コンビニ強盗は減少傾向にある中、なぜいまこのような対策を進めているのか。
「ハラスメント対策」も念頭に?
また、カスハラやセクハラなどのハラスメントも店員を脅かす存在だ。システムの開発には、ハラスメント対策の目的もあるのか質問したところ、直接的な回答は得られなかった。しかし、近年のコンビニ業界を見ると、ハラスメント対策を強化する動きが見られることから、ある程度は影響しているだろう。
ローソングループは2024年に「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定し、迷惑客に対して出入り禁止措置を取る可能性もあるとしている。店員の名札を任意のアルファベットで表記できるようにもした。その後、ファミマとセブンもローソンも同様の動きを進めている。
セーフティガードシステムとしてレジカウンターに設置するパネルは、店員と客の境界を明確に分けるものであり、客にはある種の威圧感を与える。客が店員に直接触れにくい構造となっており、ハラスメント対策に効果を発揮しそうだ。
今後、セーフティガードシステムの導入は進むのか。2024年末時点で導入が報じられた江東枝川2丁目店では、すでにシステムを撤去しているなど、順調ではなさそうに映る。システムの導入により従業員の安全安心が保たれるのは良いことだが、導入が不可欠になる状態にはなってほしくはない。今後に注目したい。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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