なぜ、ファミマは長距離ドライバーの「オアシス」をつくったのか コンビニ各社が抱く危機感(1/4 ページ)
人手不足を中心にさまざまな問題がさけばれる物流問題に対して、コンビニ各社が取り組みを進めている。共同配送から、自動運転を組み合わせたものまで、その最前線を追う。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
ファミリーマートは11月、長距離ドライバーをターゲットにした「みなと香椎店」を、物流拠点や青果市場がある福岡市アイランドシティにオープンした。敷地面積は約2500平方メートルで、大型トラック専用の駐車場を7台分設置している。
店内にはイートインスペースが8席あり、女性運転手向けのパウダールームも設ける。「休憩所が少ない」というドライバーのニーズに応えた店舗である。ファミマは「ドライバーや物流関係者の皆さまにとって、日々の業務の疲れを癒し、ほっと一息つける『オアシス』」を目指したとアピールしている。
コンビニは弁当やおにぎりなど日配食品の納品が1日に数回ある。だが、人手不足に加えて働き方改革によってドライバーの労働時間が短縮されており、今後もこうした問題は深刻化していく可能性が高い。そこで抜本的な対策が求められている。
1日70台のトラック→共同配送などで10台未満に
コンビニの物流は工場から共配(共同配送)センターに配送するフェーズと、共配センターから各店舗に配送するフェーズに分けられる。かつては現在のような共同配送の仕組みがなく、商品ごとに卸業者のトラックが店舗に商品を配送していた。黎明期の1974年頃、セブン-イレブンの店舗には1日に70台ものトラックが配送していた。
その後、段階的に共同配送の仕組みを構築し、店舗への配送回数が減っていった。セブンの場合、1店舗に訪れるトラックの数は2015年以降、10台を下回っている。
弁当、おにぎりなどの日配食品はセンターから毎日配送している。多い場合は1日に3便以上、同じ店舗に配送がある。飲料や加工食品、雑貨などの常温で配送できる商品は1日1便・週5日の頻度で配送することが多い。アイスクリームや冷凍食品など、比較的販売数が少ない商品に関しては、1日1便・週2〜3日だけ配送するコンビニ業者もいる。
業界は効率化を進めてきたとはいえ、近年は「2024年問題」が大きくクローズアップされた。働き方改革関連法の施行により、ドライバーの時間外労働時間が年960時間に制限され、1カ月・1日当たりの拘束時間も定められた。人手不足も深刻で、物流問題は今後も続く長期の課題といえる。
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