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なぜ、ファミマは長距離ドライバーの「オアシス」をつくったのか コンビニ各社が抱く危機感(2/4 ページ)

人手不足を中心にさまざまな問題がさけばれる物流問題に対して、コンビニ各社が取り組みを進めている。共同配送から、自動運転を組み合わせたものまで、その最前線を追う。

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コンビニ御三家が進める配送改革とは

 近年、各社は店舗への配送回数の削減に取り組んでいる。

 セブンは2023年以降、弁当やパンなどの配送回数を1日4回から3回に削減。弁当類を運ぶ便と、パンなどを運ぶ便を統合したほか、店舗側が1度に発注する量を変更して便数の削減に取り組んでいる。これにより、1日当たりのドライバーの拘束時間を11時間から10時間未満に減らす効果があるという。

 ローソンも同様に日配食品の配送回数を1日3回から2回に削減した。深夜・午前・午後のうち、前者2つを集約。以前は配送時間を優先していたため、トラックに空きがあっても配送していたが、積載率を高めてから配送するようにした。

 ファミマでは、従来配送ルートを人間が策定していたが、2022年から独自開発したAIを活用している。その結果、弁当やチルド類の配送ルートを1割削減できたとしている。

 日配食品の配送回数が多いのは、店舗に保管するスペースがないうえ、消費期限が限られているためだ。配送回数を単に削減するだけでは、販売機会の損失や廃棄量の増加につながってしまう。

 そこで配送回数の削減に伴うコストアップを防ぐべく、各社は需要予測の向上にも努めている。近年チルド弁当を増やしているのも、消費期限を延ばす狙いがあるためだ。

ファミマとローソンの共同配送も

 実証実験にとどまっていた共同配送の実用化も進んでいる。

 ローソンとファミマは2024年4月から宮城県や岩手県、秋田県などで共同配送を実施している。物流拠点間の配送において、ファミマは宮城県多賀城市から秋田市に、ローソンは盛岡市から秋田市に配送していた。これを共通化して、ドライバー不足に対応する狙いだ。

 物流が安定する期間に週3回実施し、冷凍品が対象。10トントラック1台で、多賀城市のファミマ拠点、盛岡市のローソンの拠点で積載。その後、秋田市にあるローソンとファミマの拠点で商品を降ろす。配送1回で移動距離を120キロ、CO2排出量を56キロ削減できるという。


共同配送のイメージ(同前)

 セブンを含む3社の取り組みもあるが、いずれも行政が絡んだ実証実験にとどまっている。共配センターから店舗への共同配送は非現実的であり、実用化は拠点間などの前段階に限られるだろう。ただし、各社はプライベートブランド商品の比率が増えている上に、その他の商品構成も異なるため、前段階でも普及する可能性は低いと考えられる。

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