ブルーカラーとて“安泰”ではない AI時代に最もリスクヘッジが利く「2軸スキル」とは?:石角友愛のキャリアコンパス(4/4 ページ)
DXでは、省人化・自動化を図る目的でAIによる業務代替が進行し、特にホワイトカラー領域で顕著です。ホワイトカラーへの雇用リスクが増大する中、人間だからこそできる、体を使った「ブルーカラーワーク」が再評価されています。
AI時代に変わる企業の人材育成戦略
オフィス機能と現場を統合させ、企画・データ分析・業務改善をシームレスに進める──こうした取り組みはさまざまな業界で進んでいます。
物流では、自動仕分け機やAGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)とAI在庫管理が連動し、現場スタッフがデータを見ながら動線最適化を行うようになりました。小売ではAIによる需要予測や自動発注が進み、店員が売場戦略まで関与します。建設ではドローン点検や3Dスキャンを扱う作業と、解析結果をもとに工程管理を行う管理職業務が統合しています。
さらに、第一次産業でも同じ変化が見られます。農業ではドローン散布やAI画像診断による病害検知、収量予測が行われるようになりました。漁業では魚群探知AIや自動操船が導入され、林業では倒木リスク評価やスマート測量が普及し、ブルーワーカー層が管理業務も担うケースが増えています。
これまで企業は「ホワイトカラーはオフィス業務」「ブルーカラーは現場作業」という前提のもと、分断された人材育成・評価システムを敷いてきました。しかし、AIによってオフィス・現場の統合管理が進むようになった今、企業は人材育成や評価システムを見直し、ホワイトカラー・ブルーカラー領域を横断して業務を担えるハイブリッド型人材の育成を進める必要があります。
著者プロフィール:石角友愛(いしずみ・ともえ)
パロアルトインサイトCEO/AIビジネスデザイナー
2010年にハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した後、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
部下の意見「聞いて終わり」 ”傾聴地蔵”が崩壊させる組織、どう変えるべきか
「傾聴地蔵」という言葉をご存じでしょうか。組織を崩壊させる上司を指す言葉として注目を集めています。どのように崩壊させるのか、そして対策は?
生成AI時代に求められる「言語化力」 良い・悪いプロンプト例に学ぶ
ChatGPTの誕生により、生成AIと仕事をするのが当たり前になった今、あらためて「言語化力」の重要性が増しているように感じます。プロンプトを例に、生成AI時代における「言語化力」について解説します。
「中間管理職を減らしたい」企業の盲点 リストラで起こる、3つのリスクに備えよ
中間管理職を削減する動きが企業で広がっている。その中には企業が気付けていない「盲点」がある。備えるべき3つのリスクと対策と解説。
“静かな退職”は悪じゃない なぜ「日本人は休めない」のに「生産性が低い」のか
一時期に比べれば、日本の長時間労働もやっと改善され、残業を美徳とする社会の風潮も薄れました。しかし一方で、いまだに「うまく休めない問題」は解決されていません。
