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もはや「脱EV」? 世界で進む“ハイブリッド回帰”と日本メーカーの現状とは(2/3 ページ)

EV化が遅れていると悲観論もあった日本車メーカー各社が、HVで逆に存在感を示しつつある。各社の動向を解説する。

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米国でHVが人気なワケ

 米国では2025年4〜6月期のHV比率が13%で、EVを上回っている。HVが人気なのはコスパが良いためだ。HVタイプのRAV4は小売希望価格が3万2850ドル(約510万円)で、2026年の新型は3万1900ドル。ホンダの新型CR-Vのスポーツハイブリッドタイプは3万5630ドル(約550万円)である。

 一方、テスラの「モデルY」は最低3万9990ドル(約620万円)に設定している。一般的なEVの価格帯が4万ドル以上であるのに対し、HVは3万5000ドル前後で購入できるのが現状だ。自動運転機能などの機能面で差があるとはいえ、HVの安さが消費者に支持されている。航続距離が1000キロ前後を実現するなど、燃費の良さでも優位性がある。


ホンダのCR-Vも米国で人気だ(出所:同社公式Webサイト)

トランプ政策もHV人気の追い風に

 トランプ政権の政策もEVの普及を鈍化させている。前政権は2030年までに新車販売の半数をEVとする目標を掲げていたが、これを撤回。カリフォルニア州は2035年までに新車販売の100%をゼロエミッション車にする計画を進めていたが、これも撤回させた。充電器を設置するための助成金や、北米産のEVに対する税額控除なども打ち切っている。

 米政府は2024年に中国製EVへの関税を25%から100%に引き上げている。その結果、中国や新興国では安い中国製EVが台頭する一方、米国では輸入がほぼ途絶えている。テスラ一強でEV間の価格競争が起きなかったため、価格でHVに負けてしまったとも捉えられる。

 テスラのCEOを務めるイーロン・マスク氏の政治思想もテスラ離れを引き起こした。ツイッター(現X)を買収したマスク氏は2022年にトランプ氏のアカウントを復活させ、2024年の大統領選ではトランプ氏を支援した。現政権下では5月まで政府効率化省(DOGE)のトップを務めていた。EV購入者には脱炭素を支持するリベラル層も多いため、保守寄りのマスク氏の政治思想は販売面で足かせとなった。

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