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もはや「脱EV」? 世界で進む“ハイブリッド回帰”と日本メーカーの現状とは(3/3 ページ)

EV化が遅れていると悲観論もあった日本車メーカー各社が、HVで逆に存在感を示しつつある。各社の動向を解説する。

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EVとHVを巡る、世界の動向は

 米国市場でHVが台頭するなか、日本の自動車メーカーは明暗が分かれている。

 各社とも中国での販売台数が減少したが、トヨタ・ホンダなどは米国の販売がけん引し、業績は好調に推移。一方で日産はHVを軽視したゴーン氏の意向が尾を引いて、北米でHVを展開していなかったこともあり、他社のように中国での失速を北米で挽回できず、業績悪化が続いている。


中国で人気のトヨタ「bZ3X」(出所:同社公式Webサイト)

 米国でのHV市場拡大を背景に、韓国の現代自動車もHVを強化する構えだ。米国でのシェアは現在、10%に満たないが、SUVでHVを拡充するなど日本勢に続こうとしている。

 『ハイブリッド→EVシフトは進むのか 中国市場で好調、トヨタの戦略』でも解説したが、中国ではBYDなどの地場のメーカーがリーズナブルな車種を投入し、先進的なアシスト機能の人気や、不景気による購買力の低下も相まって急速に市場のEV化が進んだ。2021年ごろからEVに出遅れた日本勢に対する悲観論が聞かれるようになったが、米国ではHVの方が伸び続けている。欧州も同様に、有効なEVを開発できず、中国勢の台頭を関税で阻止している状況だ。EUは2035年以降にエンジン車を禁止する取り決めを近々撤廃するとみられる。

 脱炭素は「EVかHVか」の二者択一ではなく、地域ごとに車種が分かれる状況になりそうだ。HVは日本勢の得意分野であり、しばらくは楽観視できるかもしれない。

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


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