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「先延ばしグセ」を手なずける、アメとムチ活用法3選(3/3 ページ)

先延ばしグセの本質は「快楽」(アメ)を求めて「嫌なこと」(ムチ)から逃げようとする脳の作用にあるという。ソルツゲバー氏が執筆した『科学的根拠で 先延ばしグセをなくす』より、アメとムチを利用した3つの先延ばし防止方法について解説する。

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「損失」をうまく使ってみよう

 次の秘訣は何かを成し遂げたら自分に報酬を与えるアメのやり方ではなく、何かを成し遂げなかったら自分に罰則を科すムチのやり方である。このやり方が効果的なのは、人は利益を得るより損失を避けたがる傾向=損失回避があるという心理を活用しているからだ。

 人は1000円を手に入れるよりも、1000円を失いたくないという気持ちのほうが強いのがそうだ。損失には利益に比べて2倍のインパクトがあり、これは複数の研究で指摘されている。例えば、身近な人に1万円を渡し、午後9時までに課題をやり遂げたら1万円を返してもらうように頼んで、午後9時までに課題をやり遂げられなければ1万円をそのまま渡す約束をする。

 これは「コミットメント契約」と呼ばれるものだ。何かにコミット(午後9時までに課題をやり遂げる)して、それが守れなかったら罰則を科す(1万円を失う)というやり方である。罰則は自分にとって痛手となるものならなんでもいい。例えば、お金を失う、人前で恥をかく、髪の毛を切る、好きなイベントに行けない、などなど。やり遂げなかったことに対する損失が大きければ大きいほど効果的だ。


出所:ゲッティイメージズ

 罰金を科すなら、そのお金を前もって用意しておこう。「やり遂げなかったら、罰金を払う」というのではなく、前もってそのお金を相手に渡すとより効果的だ。お金を取り戻したいなら、約束の時間までにそのことをやり遂げる必要がある。

「コミットメント契約」のポイントは?

 取り決めをする相手は親や友人などでもいい。相手が誰であれ、その人が審判として公正に判断し、罰則を科すことが重要だ。ただ、そういう意味では親は必ずしも最適な相手ではないかもしれない。

 報酬の場合と同様、罰則はなるべくすぐに科されることが好ましい。長期的なプロジェクトに取り組んでいる場合は、一つの大きな罰則を設定するのではなく、節目に間に合わないたびに罰則を科すといいだろう。

 以前、私は本書の原稿を書き終えることに対して、弟のジョナスとコミットメント契約を結んだ。弟に100ドルを渡し、3日後までに原稿を書きあげた場合にのみ、返金してもらう約束をした。残念ながら、あいにく私のやり方はうまくいかなかった。「原稿を書き終える」という条件が曖昧(あいまい)だったからだ。

 弟にしてみると、私が約束を守ったかどうかを判断する手立てがなかった。しかも私はそれを知っていたから、いつもより頑張らなければならないというプレッシャーを感じなかった。

 この経験から学んだ教訓は、コミットメントの内容が明確でなければならないということだ。自分が約束を守ったかどうかを依頼した相手が客観的に判断できるようにすべきである。

著者プロフィール:ニルス・ソルツゲバー(にるす・そるつげばー)

起業家・著述家・ブロガー。かつては「筋金入りの先延ばし屋」だったが、科学的根拠にもとづく方法を何百冊もの自己啓発書から徹底的に学び、ついにその悪習を克服。生産的で満ち足りた人生へと変わる。ポジティブ心理学、睡眠、瞑想に精通し、執筆や心理学研究、そして世界中を旅することをこよなく愛している。


翻訳者プロフィール:弓場隆(ゆみばたかし)

翻訳家。主な訳書に『一流の人に学ぶ自分の磨き方』(小社刊)、『人生を最大限に生きる』『うまくいっている人の考え方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『「人の上に立つ」ために本当に大切なこと』(ダイヤモンド社)がある。


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