「やる気が出ない」「仕事と割り切る」──働き盛り30代の熱量はなぜ失われるのか(2/2 ページ)
後輩社員への指導役や、若手リーダーとして組織を引っ張る存在になることが期待されている30代。まさに働き盛りともいえる世代だが、ある異変が起こっている。
30代女性は「割り切り」志向
30代男性のやる気が低下する一方、30代女性はどのような傾向があるのか。滝口氏は「30代女性は『プライベートを大事にしたい』『仕事は収入を得る手段』と割り切る傾向がある」と指摘する。
「仕事に全力投球しない社員は、企業にとってマイナスでは?」と思う人もいるだろう。しかし、滝口氏は異なる見方を示す。「割り切ること自体は悪いことではない。割り切って働く人は、無駄な業務や残業を避ける傾向にある。そのため、効率的に成果を出そうとしたり、非効率な業務には改善提案をしたりしてくれることも多い」
30代女性の割り切り傾向を、過度に心配する必要がない理由はもう一つある。割り切りが一時的なケースも多いからだ。「結婚や出産などのライフステージの変化により、パートナーと役割分担をして、今は自分が仕事をセーブする時期という人もいる。子育てが一段落すれば、再びキャリアに力を入れる人も多い」
一方で、滝口氏は懸念点もあると続ける。割り切って働く30代女性が管理職の経験を積まなければ、将来の幹部候補が不足する可能性がある。だからといって、割り切りを許さない雰囲気で働き方を強制するのは、柔軟な働き方ができる他社に人材が流出してしまうことにつながり、逆効果だ。このバランスを取るために、企業には多様な働き方を認める環境を整えることが求められている。
やる気を引き出す具体策3選
30代男性のやる気を引き出すために、企業はどうすればいいのか。滝口氏は3つの具体策を挙げる。
1つ目は、報酬以外の動機付けだ。報酬への不満も無視できないが「ただ金額を上げるだけでは限界がある」と滝口氏。会社が目指す方向と、自分がやりたいことが一致している方が意欲は上がり、報酬とは別の次元で働く動機になるという。
2つ目は、社員が挑戦できる機会や制度を増やすことだ。社内公募があれば、今の部署に不満があっても転職せずに新しい挑戦ができる。また、企業内大学のような学びの場があれば、将来のキャリアに向けてスキルを磨ける。
3つ目は、管理職の負荷軽減だ。30代は課長代理や主任といった管理職ポストに就き始める時期。しかし、管理職の負担が大きすぎると、昇進をためらう人が増える。「30代は、今の会社でキャリアを築くか、転職するかを見定めている時期だといえる。『この会社でやっていける』という希望を持てるかどうかが、今後の選択を左右する」
経営層には、将来の中核を担う彼ら・彼女らの熱意を無駄にせず、「ここなら自分の手で変えられる」「挑戦できる」という希望を、制度やカルチャーなどの面からサポートすることが求められる。
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