インバウンドが押し寄せ、富裕層だけが旅行を楽しむ一方で…… 庶民の「旅行離れ」まだまだ続きそうだと断言できるワケ(3/3 ページ)
インバウンドが過去最高を記録する一方、日本人による国内旅行や国外旅行が伸び悩んでいる。
富裕層だけが旅行を楽しんでいる?
旅行単価の上昇は旅行の仕方にも変化を与えている。
海外旅行に行かない層が増える一方、国内旅行に関しては高速バスをホテル代わりに利用し、出費を抑える旅行客が増えてきた。高速バス事業者のWILLER EXPRESSによると、高速バスの主要客は学生などの若年層だったが、若手社会人やシニア層も増えており、可処分所得が多いような層も夜行バスを選ぶようになったという。
近年の株高や不動産価格の高騰で富裕層は潤っており、円安が進む昨今でも欧州や米国などの長期旅行は堅調だ。行先別ではアジア圏の割合が前年比で減少した一方、欧州・ハワイ・北米の割合が増えたというデータも出ている。旅行控えする庶民と積極的な富裕層で二極化が進んでいる。
旅行控えをもたらす円安・物価高は、政府が長年続けてきた積極財政が要因だ。国債を発行し続け、財政支出を増やしてきたツケともいえる。円の価値が低いのは、外国との金利差に加え、日本の財政に対する懸念が大きいことも背景にあるだろう。
円安はインバウンド増加に寄与した一方、日本人のアウトバウンドを抑制した。2月に総選挙が予定されているが、民意を反映して与野党とも減税を打ち出しており、財政健全化への道筋は見えてこない。極端な円安を是正する政策が行われない以上、今後も円の価値が低い状況が続くはずだ。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「野蛮人」と蔑まれていた日本人観光客が「世界一」になったワケ
訪日外国人のマナーの悪さを取り上げる報道が増えてきた。「外国人に比べて日本人はマナーが良い」と思うかもしれないが、今から30年ほど前、海外から日本人観光客のマナーの悪さが問題視されていたのだ。例えば……。
押し寄せる外国人観光客は、本当にカネを落としているのか
インバウンド客の迷惑行為に対する地元住民の苦情が、有名観光地で無数に発生している。この手の話では「写真を撮ったらそのまま帰ってしまって、カネを落としてくれるわけでもないのに迷惑だ」というニュアンスも多分に感じられる。現状、インバウンド需要は経済的に貢献していると、本当に言えるのだろうか。