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外食産業が停滞する中で、なぜ「サイゼ」と「日高屋」が勝ち続けられるのか? 背景に「1円値上げ」「脱・390円の壁」(2/4 ページ)

外食各社の値上げによる業績改善のサイクルが落ち着きつつある。そんな中、好調を続けるのがサイゼリヤと日高屋だ。

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「1円値上げ」が奏功したサイゼリヤ

 サイゼリヤの2026年8月期第1四半期の売上高は703億円で前年同期比14.7%の増収となった。国内事業単独の売上高は470億円で同18.9%増、営業利益は14.6億円で同184.7%増となった。同社の好調は客数増による影響が大きく、2023年1月以降、既存店客数が前年同月比110%を下回った月はない。


サイゼリヤの国内業績推移(IR資料を基に筆者作成)

 サイゼリヤに客が集まるのは、同社が値上げをせず、低価格を維持しているためだ。会計のオペレーションを効率化する目的で2020年7月に「99円表記」を廃止し、多くの商品を1円だけ値上げしたが、定番メニューの価格はほぼ変化していない。「ミラノ風ドリア」は299円から300円になり、「イタリアンハンバーグ」は499円から500円になった。低価格を売りにしているため、過度な値上げはしない方針を貫いている。

メニュー数を削減、DXにも注力

 近年のインフレで価格を維持するのは無理があり、サイゼリヤは代替策としてメニュー数の削減を進めてきた。2023年8月期には約140品→約100品に削減している。

 新規メニューの登場や旧商品の復刻などで気が付きにくいが、例えばパスタの大盛りを廃止したほか「焼き肉とハンバーグの盛合せ」や「プロシュート(生ハム)」などを終売とした。その代わりに、メニューブックに「よく一緒に注文されているメニュー」の欄を設け、同じ商品を複数ページに掲載することで、品数減少が目立たないよう工夫している。

 店舗のDXでは、2020年に「手書きオーダー」制を導入。接客時間を短縮し、効率化を進めた。2023年からはQRコードを用いたスマホ注文方式を導入している。客のスマホを用いるため、他社のようにタブレットを設置する必要がなく、コストをかけずにDXを実現した。

 価格を据え置きしたため、国内事業は2023年8月期まで赤字であり、好調な中国事業で補う状況が続いた。だが、低価格路線を貫いたことで客数が増え、以降は黒字を維持している。客単価も上昇している。メニュー刷新による「ついで買い」の増加が、その背景にあるとみられる。

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