「いきなり!ステーキ」は本当に敗北したのか? 「やっぱりステーキ」と“コスパ神話”の行方:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
値上げに踏み切る「いきなり!ステーキ」と、コスパを維持した「やっぱりステーキ」。明暗が分かれたような報道もあったが、実際はどうか。売り上げや店舗数を見てみると……。
思っていたほどではなかった快進撃
しかも、いくらコスパがいいといっても、このような「激安ステーキ店」で食事をしようと思ったら、2000円はかかってしまうのだ。「やっぱりステーキ」はライス、サラダ、スープが食べ放題なので「コスパがいい」ということだが、ステーキは100グラムで1500円、150グラムで1900円と、それなりの価格だ。
若い男性ならば100グラムではちょっと物足りないので結局、2000円くらいかかってしまう。これは「いきなり!ステーキ」もそれほど変わらない。「ワイルドステーキ」は150グラムで1580円、これにライス、サラダ、スープがセットになった「いきなりセット」(530円)を付ければ、2150円だ。
ここまでリーズナブルな価格でステーキを提供する両者の企業努力には頭が下がるが、「安さ競争」という点では上には上がいる。愛知県を中心に展開している「あみやき亭」や関西の「ワンダーステーキ」などは、いまだに「1000円ステーキ」を売りにしている。こういう激安チェーン店を知る消費者からすると、「やっぱりステーキ」も「いきなり!ステーキ」も「なんかコスパ悪いな」という印象になってしまうものだ。
「やっぱりステーキの快進撃」も思っていたほどではないというのが、その一つの証左といえる。
「ステーキを安く提供する店」は、もともと毎週のように利用してくれるリピーターも少ないうえ、コスト削減のハードルが高いというかなり難しい戦いを強いられる業態なのだ。
円安が進行する中で、「1000円ステーキ」を実現するのは並大抵のことではない。場合によっては、人件費をかなり抑えなくてはいけないはずだ。
このような「コスパを極限まで求めていくチキンレース」は、消費者にとってはハッピーなことこのうえないが、企業にとっては過酷な戦いだ。「いきなり!ステーキ」が新しいコンセプトにかじを切ったのも、実はこれが大きいのではないか。
筆者はこれまで、本連載で繰り返し「安い外食」の弊害を指摘し続けてきた。サイゼリヤのようにあくまで「安さ」を追求する姿勢もそれはそれで素晴らしいが、一方で「安さ」を実現するためには、企業側はどこかで何かを犠牲にしなくてはいけない。調達コストの圧縮・効率化はどこかで限界が来るので、その穴埋めは「安い賃金」によって実現されてきた側面もある。
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