ファネル→フライホイールへ レイ・イナモト氏が語る、ブランドが「信頼」を得るための“思考の型”とは?:後編(2/2 ページ)
これまで何年もの間、「認知→関心→検討→購入」と進むファネル型のモデルがマーケティング施策を考える際の“よりどころ”として機能してきた。このファネルの考え方が、SNS活用の多様化や生成AIの登場によって、限界を迎えている。グローバル・イノベーション・ファームI&COの共同創業者 レイ・イナモト氏が提唱する新しい思考方法「フライホイール型」の内容と、ブランド構築を経営課題とすべき理由について、詳しく紹介する。
ブランド構築は「経営者」の役割
本来、ブランドと顧客の関係は、1つの商品を販売、購入したら、それきりで終わるものではない。むしろ、販売や購入をきっかけに両者の関係は始まり、その後の体験やコミュニケーションを通じて、信頼を積み重ねていくものだ。
人口減少の一途をたどる日本では、新しい顧客との出会いにかかるコストは上昇する一方であり、これからはブランドに対する信頼という固い絆で結ばれた顧客を、より一層大切にしなければならない。「フライホイール型のブランド構築にならって信頼を積み重ねる仕組みを設計し、循環させられるか」が企業の生命線となる。
その意味で、ブランド構築を担うべき人は誰なのか。
これまでは、サービスやWebサイトのリニューアルなどをきっかけに「ロゴやイメージカラーなどのVI(ビジュアル・アイデンティティー)を刷新すること」がブランディングであると理解されてきた。そのため多くの企業では、ブランディングはマーケターや広報担当者の仕事として捉えられてきたのではないだろうか。
しかし「ブランドは顧客の信頼によって“つくられる”ものだ」とするイナモト氏は、「ブランド構築は重要な経営課題であり、その重責を担うのは経営者だ」と強調する。
ブランド構築が経営課題であるということは、それによって目指すのは“企業の成長”だ。「ブランドがなければ成長できないし、逆にブランドがあれば強い成長につながる。経営こそがブランド構築である」(イナモト氏)
最後に、海外在住であるイナモト氏は、英語圏のSNSで「#usedinjapan」という日本の中古品を示すハッシュタグが盛り上がりを見せていることを明かし、次のように語った。
「日本で使われていたということだけで価値になっている。これはJapanブランドに対する信頼の高さの証であり、信頼による差別化ができている状態だ。SNSやAIを味方につければ、市場は世界へと大きく広がる。日々の真摯な企業活動によって自社のブランドを築き、さらにJapanブランドとも掛け合わせながら、チャンスを手にしてもらいたい」
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