年間「11万時間」削減を社員が実感 クレディセゾンが“AI活用のゴールを決めない”理由(3/3 ページ)
クレディセゾンが3500人を超える従業員にChatGPT Enterpriseを配布して半年。業務時間の削減効果は社員の申告ベースで年換算11万時間に上る。華々しい数字面での成果に加えて、何より変わったのは「組織のOS」だという。
AI活用は働き方の再定義
ChatGPT Enterpriseを全社員に配布したクレディセゾンだが、今や他のAIも積極的に使い分けている。
資料作成や画像生成はGoogleのGeminiとNotebookLM。エンジニアにはAnthropicのClaude CodeやOpenAIのCodex、M365ユーザーにはMicrosoft Copilot。ChatGPTを全社の基盤としながら、用途に応じて最適なツールを組み合わせる「マルチAI」の体制が整いつつある。
この柔軟さには理由がある。「去年の夏はChatGPT最強と言われていたのが、秋にはGoogle最強になって、今はAnthropicが最強という声が多い。次の夏にどうなっているか、全く分からない」と小野氏は言う。1つのツールにフルコミットする発想自体が、この変化のスピード感とそぐわないという考えだ。
AI変革の進捗を問われると、小野氏は「何合目とは答えられない」と即答する。山であれば頂上が決まっているが、AIの世界では1カ月後にモデルが刷新され、前提が変わってしまう。
「何合目というゴールを決めてそこから逆算すること自体が、この領域では不適切だと思っている」
ツールを配ることは出発点に過ぎなかった。「組織のOSを書き換える」とはそういうことだと、半年を経て小野氏は改めて語る。クレディセゾンの変化は、AIの使い方ではなく、働き方の再定義として進んでいる。
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