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2万人以上のBox運用を安定化 大東建託が選んだ段階的展開と伴走支援

PPAP対策を契機に「Box」を導入した大東建託。100TB超えのデータ移行や運用負荷といった課題を、丸紅ITソリューションズの支援とエコソリューションによって解決に導いた。いかにして移行を成功させて業務効率化を実現したのか、その軌跡を追う。

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 「PPAP」廃止を政府が呼びかけて以降、多くの企業がパスワード付きZIPファイルのメール送信を排除し、よりセキュアなファイル共有の仕組みを模索している。解決策の一つがクラウドストレージだが、大企業における活用は容易ではない。セキュリティ対策と利便性のバランス、ユーザー間のリテラシー格差、膨大なデータ移行などの課題が立ちはだかっている。

 こうした大企業ゆえの障壁を、戦略的なロードマップと専門パートナーとの連携によって突破しているのが大東建託だ。

 同社はPPAP対策を契機にクラウドストレージサービス「Box」を段階的に導入して、現在は2万人を超えるグループ従業員が利用している。これを支えているのが、丸紅I-DIGIOグループの丸紅ITソリューションズ(以下、MISOL)だ。

 現場の利便性を損なわずに、いかにしてセキュアな環境を構築し、定着させたのか。同社の知見が詰まったステップ・バイ・ステップのプロセスに迫る。

3つのフェーズを描いたBox導入

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大東建託の高崎真史氏(情報システム部 システム管理課 チーフ)

 「Box導入のきっかけはPPAP対策でしたが、それまで使っていたファイルサーバの統合も視野に入れていました。そのため、単なるファイル共有サービスではなく、将来的に全社のコンテンツ基盤として活用できるものを選ぶ必要がありました」と、大東建託の高崎真史氏(「高」は「はしごだか」)は振り返る。

 数あるクラウドストレージサービスの中からBoxを選んだ理由を、同社の遠藤孝氏は次のように話す。

 「他社のサービスも選択肢にありましたが、外部とのセキュアな共有、詳細なアクセス履歴の取得、容量の柔軟性といった点でBoxが優位だと判断しました。グローバルスタンダードとして多くの企業がBoxを採用している実績も、経営層の理解を得る上で重要でした」

 導入に当たり、大東建託は3つのフェーズでロードマップを描いた。フェーズ1はPPAP廃止、フェーズ2はデータ移行、フェーズ3はBoxの利用促進だ。現場のITリテラシーを考慮して、混乱を避けるために無理のないペースで着実に進めることを重視した。

 こうした大東建託のアプローチを、MISOLの上手亮二氏は次のように評価する。

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MISOLの上手亮二氏(CXディレクション事業本部 Box事業部 事業部長)

 「期限に追われて短期間で全機能を展開しようとする企業がありますが、それではユーザーの理解が追いつきません。大東建託さまは情報システム部門が現場の習熟度を見極めながら、ステップを着実に踏んでこられました。現場の声を丁寧に拾い上げて無理のないペースで進めたことが、高い定着率につながっていると思います」

 販売代理店にはMISOLを選んだ。「Box Japanの紹介で複数の代理店を検討しましたが、MISOLは独自のエコソリューションが豊富で、技術力が高い点が決め手になりました」と遠藤氏は振り返る。

 フェーズ1でPPAPを廃止した大東建託は、フェーズ2でオンプレミスのファイルサーバに蓄積された100TB、1億1000万個以上のファイルをBoxに移行することにした。この大規模なデータ移行を支えたのがMISOLのエコソリューションの一つである、大量のファイルをスピード移行できる「Rocket Uploader」だ。

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大量のファイルをスピード移行できるRocket Uploader(提供:MISOL)《クリックで拡大》

 高崎氏は、Rocket Uploaderの導入効果を次のように語る。

 「通常業務に支障なく膨大なファイルを移行できました。通信制限を細かく設定できるため、業務時間帯は転送レートを抑えて、夜間や休日にネットワーク帯域を利用するといった運用が可能です。部署単位で順次移行を進めており、事前のフルコピーは約半年で終了し、現在は最終段階として差分コピーを継続しています」

「仕組み」の自動化でガバナンスを維持

 データ移行後に、フェーズ3のBoxの利用を推進する上で避けて通れないのが運用管理の壁だ。大企業ともなれば、手作業によるアカウント管理や権限設定は早々に限界を迎える。

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大東建託の遠藤孝氏(情報システム部 システム管理課 課長)

 「人事異動や組織改編に伴うBoxの設定を一つ一つ手動で行うのは不可能です。人事システムと連携して、組織の動きに合わせてフォルダを作成したりアクセス権を更新したりといった自動化が不可欠でした」(遠藤氏)

 この課題を解決したのが、MISOLのエコソリューション「CSV Sync for Box」だ。人事システムのデータに基づいてBoxのユーザー情報やグループ、フォルダを自動で作成し、更新する。これによって大企業にありがちな「異動後も前の部署のデータを見られてしまう」といったセキュリティリスクを排除しつつ、管理工数を削減できる。

 意識しなくても安全性が保たれる「仕組みによる制御」として導入されたのが「Light CASB for Box」だ。これはユーザーの操作をリアルタイムで監視して、ポリシー違反があると自動で修正する“セーフティーネット”の役割を果たす。

 大東建託ではアクセス権を絞らないオープンリンクの作成時、1分以内にパスワードを設定しないとリンクのアクセス権を自動的に社内限定に切り替える運用を「Light CASB for Box」をで実現している。

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セキュアな環境を担保するLight CASB for Box(提供:MISOL)《クリックで拡大》

 MISOLの野間菜月氏は、ソリューションの狙いを次のように説明する。

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MISOLの野間菜月氏(CXディレクション事業本部 Box事業部 ソリューション第四課 ソリューションスペシャリスト)

 「大東建託さまは、Boxの標準機能では手が届かない、よりきめ細かな制御にLight CASB for Boxを利用しています。ユーザーが誤って外部ユーザーに『共同所有者』の権限を付与してもシステムが自動で『編集者』に降格させるといった具合に、意図しない設定変更を未然に防いでいます」

 高崎氏は、こうしたシステムによる強制力の重要性を強調する。

 「2万人を超える組織での運用は、ある程度の強制力が必要です。ITリテラシーが必ずしも高くないユーザーが意図せず危険な操作をしてしまうことを避けるため、自動制御の機能は非常に有効です」

カスタマーサクセスが支えるBox活用への道

 エコソリューションによる自動化に加えて大東建託のBox利用を支えているのが、MISOLのカスタマーサクセスによる支援だ。MISOLの鈴木氏は、その役割について次のように語る。

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MISOLの鈴木氏(CXディレクション事業本部 カスタマーサクセス事業部 カスタマーサクセス課 シニアカスタマーサクセスマネージャー)

 「Boxは機能が豊富で、頻繁にアップデートされます。しかし、ユーザー企業の担当者はBox専任ではないため、全ての情報をキャッチアップするのは困難です。私たちは重要なアップデート情報を分かりやすくお知らせして、ユーザーが仕様変更に戸惑うことがないように事前に通知しています。大東建託さまとは定例会を開催して、Boxの利用状況や新たな要望をヒアリングしています」

 大東建託のBox運用が軌道に乗る過程で、MISOLのカスタマーサクセスはさまざまな支援をした。その象徴的な例が、電子帳簿保存法(電帳法)への対応だ。遠藤氏は「鈴木さんが当社の経理担当者との打ち合わせに同席し、法的な要件を満たすためのBoxの機能について詳しく説明してくれました」と振り返る。

 営業現場におけるBoxモバイルアプリの利用でも、カスタマーサクセスが大きな役割を果たした。

 本人確認など顧客からの受領書類を取り扱う際のセキュリティ強化と工数削減を目的として、スマートフォンのカメラで書類を撮影し、その場でBoxにアップロードする運用を検討した。MISOLはアプリの設定確認や管理者向けの制限方法を整理した上で、端末にデータを残さない方法を提案した。

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ニュースレターの一例(提供:MISOL)《クリックで拡大》

 高崎氏は、MISOLのカスタマーサクセスの品質を高く評価する。

 「電帳法対応やアプリ運用など、ここまでお願いしていいのだろうかというレベルまで手厚くサポートしていただきました。単に導入だけでなく、運用が止まらない仕組みをMISOLと協力して構築できたことが大きかったですね」

AI活用でさらなる業務効率化へ

 大東建託は現在、フェーズ3のBox利用を推進中だ。遠藤氏は展望を次のように語る。

 「非構造化データがBoxにまとまりはしましたが、現状は保管しているだけの状態です。機密情報や個人情報を含むファイルにラベルを付与して社外共有を制限するなど、今後はコンテンツを適切にコントロールしたいと考えています。AIによってBoxの資料から営業資料を自動生成するなど、業務効率化につながるようにしたいですね」

 セキュリティ対策の強化も視野に入れている。サイバー攻撃が増加する中、マルウェアの被害を防ぐための対策が必要だ。内部不正による情報持ち出しのリスクにも備えなければならない。

 これらの取り組みに注力するためにも、MISOLの支援は不可欠だ。上手氏はMISOLの体制の強みについて「私たちは『Box事業部』として、“Box一筋”で事業を展開しています。この専門性と覚悟が、高い評価につながっていると自負しています」と話す。

 大企業でのデータ移行やコンテンツ管理の成功には、技術だけでなく現場に寄り添った展開計画と支援が不可欠だ。大東建託の事例は、2万人規模の組織で無理なくBoxを導入し、運用できることを示している。

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提供:丸紅ITソリューションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2026年3月26日

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