NEC、日立、富士通が“Anthropic協業”でそろい踏み 狙いは? 【3社の幹部コメントまとめ】
わずか1カ月の間にNEC、日立製作所、富士通がAnthropicとの協業を発表した。各社の狙いはどこにあるのか。
NEC、日立製作所、富士通が、米Anthropicとの戦略的協業を相次いで発表した。国内初を飾ったNECの協業から、わずか1カ月余りで国内IT大手3社が肩を並べた格好だ。
Anthropicは、米OpenAI出身者が立ち上げたAI企業だ。生成AI「Claude」がITエンジニアを中心に支持を伸ばし、市場シェアや企業価値で“OpenAI超え”もささやかれている。一方でAIモデル「Claude Mythos」のサイバー攻撃能力が高過ぎるとして各国当局が警戒感を示すなど、セキュリティ領域で物議を醸している。
NEC、日立製作所、富士通は、Anthropicとの協業で何を狙うのか。各社の意図と経営幹部のコメントをまとめた。
NEC副社長「発表2日前に決まった」 協業の狙いは?
4月23日、NECがAnthropicとの戦略的協業を発表した。日本企業として初の「Anthropicグローバルパートナー」となった同社。NECの吉崎敏文氏(副社長兼COO)は、翌24日の記者説明会で「3週間で協議した」「具体的な内容は発表2日前に決まった」などと明かした。
関連記事:発表の2日前に決まった――NECとAnthropicが“電撃的協業” 3週間のスピード協議の舞台裏
NECは、同社のDX・AI変革支援パッケージ「BluStellar Scenario」(ブルーステラ シナリオ)にClaudeを取り込んで、顧客の価値創造を加速させる狙いだ。同社グループ従業員約3万人にAnthropicのAI開発ツール「Claude Code」やエージェント型業務支援ツール「Claude Cowork」を展開して、AI人材の育成を強化する。
またNECとAnthropicは、金融・製造・自治体など国内向け「業種別の業務特化型AIソリューション」を共同開発する。セキュリティ領域でもAIによるサービス高度化を目指す。
吉崎氏は、協業について次のコメントを発表した。
日本市場におけるAIの可能性を最大限に引き出し、AIおよびAIエージェントの実装力をさらに強化していきます。また、両社の技術と知見を結集することで、日本の企業や行政が求める高い安全性・信頼性・品質基準を満たすソリューションを共に創出し、日本のお客さまのAI活用を通じた変革を支える中心的役割を果たしていくことを目指します。(NECのプレスリリース(4月23日付)より)
日立副社長「実社会のDXを推進」 グループ29万人がClaude活用へ
日立製作所が、Anthropicとの戦略的協業を発表したのは5月19日。同社は製造業や社会インフラ系に強みを持ち「フィジカルAI」など現実世界でのAI利用を重視している。同社が110年以上にわたって蓄積したドメインナレッジ(業界・領域別の専門知識)やOT(制御技術)と、Anthropicの先進AI技術を融合し、顧客のAI変革を支援する。
AnthropicのAIを活用して、日立製作所が展開する課題解決型の事業モデル「Lumada 3.0」(ルマーダ 3.0)を強化する狙いだ。社会インフラ向けAIサービス「HMAX」(エイチマックス)にClaudeをかけ合わせて「自然言語による直感的な設備管理」「高度なアルゴリズムによる保全業務の最適化」を実現し、顧客の運用コスト削減やビジネスの強靭(きょうじん)化を図る。
社内の取り組みでは「世界最大級のClaude活用実践企業」を目指し、日立グループ約29万人に対してClaudeを含むAIの活用を推進する。約10万人の従業員をAI人材に転換するという。
日立製作所の阿部淳氏(執行役副社長 デジタルシステム&サービス部門長)は、次のコメントを発表した。
Anthropicの極めて信頼性の高いAI技術と日立が有するミッションクリティカル領域のドメインナレッジやIT・OT・プロダクトのケイパビリティを融合させることでお客さまと社会の課題を共に解決していけることを大変うれしく思います。私たち自らが実践者として先進的なAIを活用しながら、「社会インフラをデジタルで革新し続けるグローバルリーダー」として、お客さまの現場(フロントライン)の変革と実社会における真のDXを共に推進し、ハーモナイズドソサエティの実現をめざしていきます。(日立製作所のプレスリリース(5月19日付)より)
富士通「Anthropicの最新AIモデルに早期アクセス」
富士通は、Anthropicとの戦略的協業を5月27日に発表した。同社が持つAIモデル「Takane」やAI基盤「Fujitsu Kozuchi」のラインアップにAnthropicの先進AIを加えて、多様なAIニーズに応える構えだ。
富士通のグループ従業員約10万人にClaudeを提供して「業務の高速化」「知見の蓄積」を推進。AIの安全性を維持する技術と運用プロセスを確立し、顧客支援に生かす。
加えて、社会インフラ事業を手掛ける企業としてAI時代のセキュリティ対策の強化にも乗り出す。同社は「Anthropicの最新のAIモデルに早期にアクセスし、これらを活用したソリューションの開発・提供」を推進するという。
富士通の時田隆仁氏(社長CEO)は、次のコメントを発表した。
協業を通して、富士通の有する業種・業務への深い知見、特にミッションクリティカルな領域での豊富なノウハウと、Anthropicの先端AIモデルを融合させることによって、各産業における新たな価値創出を支援し、信頼できるAIドリブンな社会を実現してまいります。(富士通のプレスリリース(5月27日付)より)
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