不安は減った、挑戦しない――景気回復で日本人が失った“野心”:日本生産性本部の調査
日本生産性本部の調査によると、景気や勤め先の業績への不安は大きく後退。この変化を受け「動かない選択」をする人が増えている実態が明らかになった。
景気の先行きや企業業績への不安が後退する中、日本の働き手の間では「安定志向」が鮮明になっている。調査研究や研修、コンサルティングなどを手掛ける日本生産性本部(東京都千代田区)は、働く人の意識や働き方に関する調査を継続的に実施している。
調査結果からは、景気や勤め先の業績への不安が和らぐ中、安定志向が一段と強まっている様子がうかがえた。
“景況感の改善”が映し出す労働市場の新局面
景気について「悪い」「やや悪い」とした人は合わせて51.3%だった。これは2025年7月に実施した前回の調査結果(68.3%)から10ポイント以上減少し、2020年5月の調査開始以来、最も少なかった。
また、今後の景気の見通しについて「悪くなる」「やや悪くなる」とした人は35.1%で、前回調査より約20ポイント減少した。
自らの勤め先の業績に「全く不安は感じない」「どちらかと言えば不安は感じない」とした人は55.3%と半数を超えた。
AIは広がるが、心理的ハードルは高いまま
職場にAIが「1年以上前から導入されている」「最近1年間に導入された」と回答した人の合計は21.5%だった。そのうち、AIを「仕事で利用している」とした人は62.3%だった。
AIの導入について「職場全体の効率化につながる」(54.5%)、「斬新なアイデアやイノベーションのきっかけになる」(51.3%)といった前向きな回答はそれぞれ半数に上った。
一方で「倫理上不適切な内容や偏見、誤りを含んだものを作り出してしまわないか不安である」(51.8%)、「AIそのものに対して、漠然とした不安がある」(51.1%)と不安や懸念を示す意見も同程度見られた。
副業も転職もしない――強まる定着志向
兼業・副業について「行う気はない」とした人は69.2%と、調査開始以来最多となった。また、「転職をするつもりはない」とした人は66.7%と7割近くに上り、安定志向の強まりを示す結果となった。
テレワークの実施率は15.4%にとどまった。また、実施していない人のうち、制度があれば「行いたい」とした人は36.4%、「希望しない」とした人は63.5%だった。
調査は1月5〜6日に実施。20歳以上で、日本の企業・団体に雇用されている人(自営業者や家族従業者などを除く)1100人から回答を得た。
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