「流行」を捨てたユニクロ、牛肉を“あまり売らない”スーパー 成功企業に共通する「前提を変える」思考法: がっかりしないDX 小売業の新時代(3/3 ページ)
「店舗に来てもらうのが基本」「品ぞろえの幅が競争力」「安さで集客する」「チラシとポイントで販促する」──これらはいずれも数十年にわたって業界の常識として機能してきました。ビジネスの出発点は、これらの前提を疑い、変えること。今回の記事は、前提を変えて成長する企業の事例を紹介します。
AI導入の前に、経営者が考えるべきこと
セブン-イレブン、ユニクロ、DZマート、ワークマンプラスはいずれも、テクノロジーの導入以前に前提を変えています。
AIを導入すれば、業務効率は上がります。資料作成は速くなり、分析は精緻になり、意思決定のサイクルも早まるでしょう。しかしDG TAKANOの代表取締役高野氏は、その「前提」の認識こそ危ういと指摘します。「AIは判断しません。最適化するだけです。前提が正しければ成功は加速します。しかし前提が誤っていれば、失敗も加速します」と。
効率が上がると「やれている感」は生まれます。会議は減り、資料は整い、KPIは改善する。しかし戦う土俵が間違っていれば、壁に向かってアクセルを踏んでいるにすぎません。AIは経営者の判断を拡張する装置ですが、判断の前提そのものを修正する装置ではありません。何を拡張するかは、あくまで前提次第です。
AIはこれからも進化し続けます。しかしどれだけ高性能なAIを導入しても、それは経営者が設定した前提を、より速く、より正確に実行するだけです。前提が正しければ、AIは最強のアクセルになります。前提が間違っていれば、AIは最速で袋小路に連れていく装置になります。
このまま5年後、10年後も今の延長線上に自社がある──それは本当に望む未来でしょうか。もし答えがノーなら、AIに何をさせるかの前に、自社が無意識に置いている前提を問い直すことから始めるしかありません。
努力ではなく前提。効率化ではなく土俵返し。AIを味方にするDXは、そこから始まります。
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