コラム
JR東日本、約40年ぶりに「運賃改定」 なぜ今、値上げに踏み切ったのか?(3/3 ページ)
JR東日本は約40年ぶりに運賃の値上げに踏み切った。なぜ、今のタイミングなのか?
運賃値上げ時代が来る
実際、どれくらいの値上げになるのか。東京〜新宿間の運賃は改定前、交通系ICカードで208円だったが、制度見直しと値上げにより253円へと45円上がった。通勤1カ月定期も6290円から7840円に引き上げられている。
こうした大幅な値上げは、利用者にとって負担が大きいのは確かだ。ただ、客観的に見れば、首都圏は人件費や動力費が最もかかるエリアでもある。年間使用電力量57.6億kWhのうち、約3分の2に当たる37.9億kWhが首都圏で消費されている。受益者負担という考え方も、一定の理解は得られるだろう。
今回の値上げにより、東京〜新宿間では東京メトロ丸ノ内線(IC運賃209円)への利用者シフトが起きるとの見方もある。ただし、東京メトロもコスト増という事情は同じで、2023年にはすでに運賃改定を実施している。足元では利用者数の回復に支えられ、当面は再値上げを見送る方針とされるが、少子高齢化の進行や原油価格の上昇が続く中、人件費や動力費の負担にどこまで耐えられるかは不透明だ。
こうした事情は他の鉄道会社も同様で、コスト増への対応に苦慮している。「運賃値上げ時代」は、これからさらに加速するのではないか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「赤字ローカル線」と呼ぶのはやめよ 廃止すべきという人が見落としている論点
JR東日本はローカル線の赤字額が約790億円に上ると発表した。だからと言って簡単に廃線にできるわけではない。どのような問題が絡んでいるのか。
人口減でも利用者1.6倍、広告等の収益6000万円 茨城の「ローカル鉄道」の地域に根差した戦略
赤字体質に陥りやすいローカル線の中で、好成績を上げている鉄道が茨城にある。ひたちなか海浜鉄道だ。人口減が進む中で、利用者数は1.6倍、広告収益は6000万円に上る。どのような戦略なのか?
なか卯の「床に置かれた食器」問題 企業の沈黙が呼ぶ“将来の波紋”
10月下旬、なか卯での「床に置かれた食器」の写真がSNSで拡散された。その後のなか卯の対応が適切だったようには感じない。では、どのような対応が求められるのか?
倒産寸前なのに年収100万円アップ 売上38億円のV字回復を実現した、山梨のプリント企業の「決断と狙い」
Tシャツなどのオリジナルプリントグッズの製作を展開するフォーカスは2020年のコロナ禍、倒産の危機に陥った。しかし現在はV字回復を果たし、売り上げは約38億円に上る。この5年間、どのような戦いがあったのか?
SNSでオモチャ化する「謝罪会見」 プルデンシャルは何を読み違えたのか
近年、謝罪会見がSNSでオモチャにされている様子をよく目にする。1月23日に実施された、プルデンシャルの謝罪会見も例外ではない。同社は何を読み間違え、SNSでオモチャとして扱われてしまったのか。

