ホルムズ海峡封鎖「本当の恐怖」 原油高騰の裏で、日本の食卓を支える「あれ」が届かなくなる日:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/2 ページ)
中東情勢の緊張が高まる中、イラン側がホルムズ海峡の封鎖に乗り出した。ホルムズ海峡を通過するのは原油だけではないことを知っておきたい。我が国の日本の食料を支える「あれ」が届かなくなる日が近いかもしれない。
野菜の種、9割は海外産 日本が抱える二重のリスク
農林水産省の統計によれば、日本の野菜自給率は80%とされている。この数字だけを見れば、野菜に関しては「国内でまかなえている」と安心する向きもあるだろう。しかし実態は大きく異なる。
日本で使われている野菜の種苗の約90%は、実は外国で生産されたものだ。つまり、国産の種苗だけで計算し直すと、野菜の実質的な自給率はわずか8%程度にまで急落する。
肥料がなければ今のペースで種から野菜を作れない。肥料が届かなくなるリスクに加えて、そもそも「植えるための種」自体も海外に依存しているという、二重の脆弱性を日本の農業は抱えている。
「見えない危機」にこそ、備えが必要
ガソリン価格の高騰は、国民の誰もが「見える」危機だ。ガソリンスタンドの電光掲示板に表示される数字は、報道されるまでもなく生活者の目に飛び込んでくる。
一方、肥料不足は見えない危機である。農家の倉庫に肥料の在庫がどれだけ残っているか、次の作付けシーズンに必要な量が確保できるのか──。こうした情報は、消費者の日常には届かない。影響が食卓の価格として可視化されるのは、数カ月から半年後だ。その時間差こそが、この問題の危険性を増幅させている。
2022年のロシア・ウクライナ戦争時における肥料高騰では、農水省が緊急支援策を講じた。しかし、ホルムズ海峡の封鎖はその当時よりも深刻でありながら、政策も消費者の視点も意識の外にあるように思われる。
国連貿易開発会議(UNCTAD)は3月10日の報告書で、ホルムズ海峡の混乱がエネルギーと肥料の供給に重大な影響を与えていると警鐘を鳴らしている。
半年後に食卓を襲う深刻な食料不安を回避するには、エネルギー対策と同等の熱量で、肥料備蓄や国内採種体制の強化を急がなければならない。
今後は企業・政府はエネルギーだけでなく食料も含めた総合的なサプライチェーンリスクへの対処が求められる。
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