「中小企業の稼ぐ力」を比較 売上増も「利益なき成長」のワケ:東京商工リサーチが調査(2/2 ページ)
中小企業では売り上げが回復しても、物価や人件費の上昇により、収益改善が限定的になるケースも少なくない。東京商工リサーチは回復状況について地域差や共通の課題があるのか、自社の業績データを基に調査を実施した。
“利益なき成長”をたどっている可能性も
地区ごとに業績の特徴が目立った産業を見た。農・林・漁・鉱業では、関東が平均売上高21億8908万円、平均純利益1億8311万円で突出していた。
農・林・漁・鉱業のうち社数が多い農業では、北海道が平均売上高6億4967万円、平均純利益2719万円でそれぞれ首位となった。
建築業の地区別業績
建設業の地区別業績をみると、売上規模では関東がトップ。平均売上高5億507万円、平均純利益1998万円と他地区を大きく上回る一方で、利益率は高水準ではなかった。建設業全体では5期前と比較して売り上げ・利益率ともに上昇したが、全地区で5期前と比べ赤字企業率が増加した。
製造業の地区別業績
製造業でも関東が平均売上高25億6935万円、平均純利益1億18万円と全地区で最高水準であり、利益率も3.8%と高かった。
売上成長率が最も高いのは九州で、21.9%の伸びを記録。平均売上高は22億5477万円、平均純利益は5805万円に成長したが、利益率の伸びは0.5ポイント増にとどまった。
卸売業の地区別業績
卸売業では関東が平均売上高36億6136万円、平均純利益6758万円とトップだが、利益率では中部が2.3%でトップだった。
小売業では関東が平均売上高13億9799万円で首位となった。売上成長率のトップは中部の22.5%増、収益性のトップは四国の利益率2.7%だった。
情報通信業の地区別業績
情報通信業では、関東が平均売上高19億831万円、売上成長率58.8%増と突出する一方、利益率は1.3%と低下。利益面では、北陸が平均純利益8581万円、利益率7.8%と突出していた。
多くの地域で売り上げは5年前を上回っているが、仕事量や需要の増加よりも、物価高による原材料費や人件費、サービス単価など、あらゆる金額が押し上がった結果、売り上げが膨らんでいる側面が大きい。東京商工リサーチは「売り上げの成長が収益力の強化につながらず、“利益なき成長”をたどっている可能性がある」と指摘する。
同じ物価高、同じ人手不足、同じ円安環境の中でも、売上増を利益につなげられる企業と、そうでない企業に分かれつつある。同社は「成長の『量』ではなく、『中身』が問われる局面に、日本の中小企業は足を踏み入れている」とコメントした。
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