ニデック不正に見る“恐怖の連鎖” 永守氏に「できません」と言えなかった組織の末路:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
第三者委員会により公表されたニデックの調査報告書。その中身を見ていると、コテコテの日本企業のまま、海外企業をまねようとする企業特有の闇が見えてくる。それは……。
なぜニデックでは実力主義が機能しなかったのか
ここまで言えば、もうお気付きだろう。「過度な業績プレッシャー」で社員に限界を突破させていく「永守イズム」とは、まさしくこれだ。ニデックの企業文化はアマゾンやテスラと同じだとの指摘もあるが、それも当たり前の話で、世界で戦う巨大企業はなんだかんだと、GEのような「ストレッチ経営」を実践しているのだ。
では、世界的企業が採用している経営スタイルが、なぜニデックだけはうまく機能せず、第三者委員会からは「不正の原因」などと不名誉なレッテルを貼られたのか。ミもフタもないことを言ってしまうと、海外企業のやり方をどんなに忠実にまねしたところで、一皮むけば中身はコテコテの日本企業だからだ。
例えば、この手のストレッチ経営の「過度な業績プレッシャー」を成立させるには「高いインセンティブ」が必要不可欠だ。
高額な成果報酬というニンジンをぶら下げられているので、人は高い目標を必死に達成しようとするし、自分の能力以上の力を発揮しようとする。実際、テスラやアマゾンは一般的なエンジニアでも日本円で2000万〜3000万円、実績がある者は5000万円以上の報酬を得ている。
では、テスラやアマゾンと同じシビアな企業文化をもつニデックはどうか。日本経済新聞の株式情報によれば、平均年収は760万4284円。有価証券報告書などをもとにした「平均年収が高い同業他社」を見ると、平均年収2039万円のキーエンスはもちろん、キオクシアホールディングス(平均年収1148万円)など遠く及ばないし、TDK(平均年収830万円)、村田製作所(平均年収803万円)よりも下回っている。
厳しいことを言わせていただくと、ニデックはテスラやアマゾンと同じくらい過度のプレッシャーを社員にかけておきながら、インセンティブはそれほど与えないという「やりがい搾取型企業」だった、という見方もできてしまうのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。
富士そば「外国人観光客お断り」は悪なのか 立ち食いそば騒動が問いかけた現実
庶民の味方である立ち食いそばに、外国人観光客が押し寄せる現象が起きている。外国人観光客お断りを示す店舗もあるが、「そば」が本当の意味でも世界に愛される日本食になるためにできることとは。
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
衰退するシャープは「日本そのもの」か “世界の亀山モデル”が失敗パターンにハマった理由
シャープが、テレビ向け大型液晶パネルの生産を2024年9月末で終了すると発表した。同社はまるで「世界の変化に対応できず」衰退していく「日本そのもの」のようだ。なぜかというと……。
