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ニデック不正に見る“恐怖の連鎖” 永守氏に「できません」と言えなかった組織の末路スピン経済の歩き方(5/6 ページ)

第三者委員会により公表されたニデックの調査報告書。その中身を見ていると、コテコテの日本企業のまま、海外企業をまねようとする企業特有の闇が見えてくる。それは……。

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日本企業の経営者が取り付かれるワナ

 こういう企業も一時は大きく急成長できる。監督が独裁者のように恐れられて、体罰がまん延していた高校野球部が甲子園の常連になったり、暴力とパワハラがまん延していたアメフト部が「日本一」に輝いたりするのと同じ理屈だ。

 ただ、こういうブラック部活がどこかで大炎上するように、過度なプレッシャーで社員を酷使する「やりがい搾取型企業」も、どこかで必ず破綻するものだ。

 もっと言えば、この手の「ストレッチ経営」には確かに効果もあるが、「弊害」もある。2019年、GEでは巨額の会計不正が指摘され、4兆円の損失隠しが疑われた。数多くの大企業の手本となってきたGEですら、この有様なのだ。外側だけまねをしても大コケするのは目に見えている。

 先ほども述べたように「過度な業績プレッシャー」をする際に必要不可欠な「ジョブ型雇用」制度も、ニデックは2021年に導入したばかりだ。タイミングとしてはすでに会計不正が起きていたときなので、焼け石に水だったといえる。

 ただ、今回のニデック崩壊は対岸の火事ではない。日本企業の経営者は「成長している海外の大企業のやり方をまねすれば自分たちも成長できる」という、何ともご都合主義的な考えにとらわれている。

 分かりやすい例が「上場企業の女性役員比率を30%以上」だ。


多様性の欠いた日本社会の現実(出典:ゲッティイメージズ)

 これの根拠になっているのは、「多様性が維持されている組織のほうが成長できる」というさまざまな国のデータだが、日本はジェンダーギャップ指数も先進国で最低レベルであり、男女格差が大きく、極めて多様性に欠けた社会であることを忘れてはならない。

 そもそも日本はコテコテの島国で、在留外国人も多いがほとんどは「日本人が嫌がることを代わりにやってもらう肉体労働者」という現実があり、このような外国人が働いている組織内で役員や幹部になることはほとんどない。

 つまり、「上場企業の女性役員比率を30%以上」というのは女性が男性で変わらぬ条件で働いていたり、移民が市民権を得ていたりしている社会での成功モデルに過ぎないのだ。もともと多様性のない日本社会で、数値目標だけをゴリ押ししても、働く女性の負担が増えたり、外国人労働者と日本人労働者の対立を生じさせたりする可能性がある。その結果、組織がかえって機能しなくなる恐れがあるのだ。

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