廃線の時代に、なぜ延伸? ローカル鉄道が150億円投じる「異例の挑戦」(1/4 ページ)
赤字に苦しみ、配線を余儀なくされるローカル線が多い中、茨城県の「ひたちなか海浜鉄道」は延伸計画を進めている。なぜなのか?
前々回の記事では、茨城県の「ひたちなか海浜鉄道」を、地域経済の振興に貢献するローカル鉄道として取り上げた。人口減の中で利用者数を1.6倍に伸ばし、広告などで約6000万円の収益を上げるなど、積極的な取り組みを続けてきた。
そうした中で今、同鉄道は路線延伸を打ち出し、さらに注目を集めている。すでに構想段階は過ぎ、具体的な建設工事に着手しようとしている。全線を市域に含むひたちなか市が過半数(51%)の株式を保有する鉄道会社であるだけに、延伸事業には公共性が認められており、さらなる経済的発展につなげる狙いがある。
もっとも、ローカル線の多くは赤字に苦しみ、廃線に追い込まれるケースも少なくない。それにもかかわらず、なぜひたちなか海浜鉄道は延伸という選択を取るのか――この点に疑問を抱く読者も多いだろう。
ひたちなか海浜鉄道は現在、勝田〜阿字ヶ浦間の「湊線」14.3キロを運行している。延伸計画では、阿字ヶ浦から先に途中1駅を新設し、国営ひたち海浜公園西口付近に設ける新駅2(仮称)までの3.1キロを新たに建設する。2021年1月15日には、この計画の前提となる鉄道事業許可を国土交通省から取得した。
しかしその後、新型コロナウイルス感染症の拡大などに伴う事業費の高騰を受け、計画を一部見直した。まずは阿字ヶ浦から、ひたち海浜公園南口付近に設ける新駅1(仮称)までの1.4キロを第1工区として先行整備する方針に変更。2024年11月18日には、工事着手に必要な工事施行認可を取得した。2026年度からは地質調査が始まり、事業は本格化する見通しだ。
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