東南アジアは「AI市場」の次なる中心地になれるのか? データセンター建設を阻む“熱”(2/2 ページ)
東南アジアでAIインフラの整備が加速している。だが、その成長を支えるデータセンターは、電力と冷却という現実的な制約から逃れられない。需要が急拡大する中で供給不足が続く同地域では、高温多湿という気候条件が大きな影響を及ぼしている。
デジタルの裏側で問われるエネルギー戦略
デジタル世界におけるAIの拡張性に期待が高まる一方で、企業は現実世界の熱や電力の問題から逃れることはできない。リー教授は「AIインフラの本質は、デジタル経済のチャンスの裏側にあるエネルギーと冷却の課題です。東南アジアで成功するプロジェクトは、単に最速で構築するものではなく、電力使用効率、水使用量、炭素強度、電力網との適合性において信頼性の高い実績を示すものである」と指摘する。
さらに同氏は、企業は「電力優先、水資源配慮、熱管理最適化」というアプローチを採用すべきだと提言する。つまり、クリーンエネルギーへのアクセスがある場所に立地し、高効率設計を採用し、従来の室内空調中心の冷却から、チップ単位の冷却や液体冷却へと移行することである。
BDxおよびBridge Data Centresの両社は、運用電力として代替エネルギーの活用を模索している。BDxのシュリヴァスタヴァ氏は「熱帯地域の大きな利点は、豊富な太陽光と風力、そして周囲に水資源があることだ」と説明する。一方、Bridge Data Centresは2040年までのカーボンニュートラル達成を目標に、水素や原子力の活用を検討している。同社のマレーシア拠点ではすでに電力の半分を太陽光から調達しており、ファンはこのモデルを他地域にも展開したい考えだ。
さらに、中東の紛争により従来型エネルギーの供給が不安定化する中、代替エネルギーの必要性は一層高まっている。ファン氏は「中東情勢の緊張により原油価格が上昇し、従来型エネルギーの信頼性に懸念が生じている。これにより、地域全体で再生可能エネルギーやより環境負荷の低いエネルギーへの転換がさらに加速するだろう」と述べている。

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