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退職前に「自分のメールに社内情報を送信」 ユナイテッドアローズの事例に学ぶ、内部不正リスクと対応(2/2 ページ)

ユナイテッドアローズで元従業員による情報の不正持ち出しが発覚した。こうした内部不正リスクに企業はどう向き合うべきか。事例を基に、法的な論点について佐藤みのり弁護士に聞いた。

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“知らなかった”では済まされない、転職先企業の責任

――今回の事例では発覚から警察への相談まで約2週間を要しています。企業が不正を把握した際の、理想的な初動スピードはどの程度ですか。

 情報漏えいが発覚した場合、会社はできる限り速やかに漏えいの実態、持ち出しをした者の動向、持ち出し先での利用状況などの事実確認を進める必要があります。

 ただし、証拠収集が困難な場合もあり、そのような事案では早期に告訴して捜査機関に強制捜査してもらうことが有効なこともあるでしょう。

 本件では、情報漏えいが発覚した翌日には、会社が元従業員に対面で事情聴取を実施し、その場で元従業員は事実を認めて任意でPCを提供。PCについて外部機関に委託し、調査を進めています。

 会社が警察に対応方法について相談したのは発覚から約2週間後ですが、事案発覚直後から迅速に元従業員や転職先の協力を得ながら事実確認を進めており、一定のスピード感ある対応だったと評価できます。

――元従業員の転職先企業が、不正により入手した経緯を知らずにリストを使用した場合、転職先も法的責任を問われるリスクがありますか。

 元従業員が持ち込んだ情報だと知らずにその情報を使用した場合であっても、転職先企業が法的責任を問われる可能性はあります。

 例えばその情報が、他社から持ち込まれたものであることに気付けるような内容や形式であるにもかかわらず、安易に使用した場合や、転職者に注意喚起をしないまま業務を任せていた場合などには、過失と評価される可能性があります。

 また、転職者の業務内容の確認を怠り、転職元の情報が使われていることに気付けなかった場合も同様です。転職先企業の過失により、転職元企業に損害が発生した場合には、転職先企業が損害賠償責任を負う可能性があります。

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転職先企業も法的責任を問われる可能性がある

――「個人のスキル」と「会社の資産」は、法的にどのように区別されるべきなのでしょうか。

 一般的に、転職は前の職場で身に付けたスキルやノウハウを生かすことが期待されています。「職業選択の自由」がある以上、転職者が前職での経験を生かしながら、次の職場で働くことは認められるのが原則です。

 ただし、前の職場との間で「競業避止義務」を負うと合意している場合などには、一定期間、同業他社への転職が制限されることがあります。

 スキルやノウハウを超え、前職の顧客情報などまで持ち出せば、先述の通り、法的な問題となり、場合によっては罪に問われる可能性もあるので注意が必要です。

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