コラム
なぜ「S評価でも給料は同じ」なのか 若手の転職理由で3位に急浮上した背景(4/5 ページ)
若手社員の間で「成果が正当に評価されない」という不満が拡大している。転職理由でも上位に浮上する中、その背景にはタイパ志向や評価制度の不透明さ、企業側の構造的課題がある。企業は何を見直すべきか。
報酬に明確な「差」をつける。KDDIの事例
こうした若手の不満に対し、評価制度の見直しに動く企業も出てきている。KDDIは2020年、「プロを創り、育てる」をコンセプトに全総合職を対象に「KDDI版ジョブ型人事制度」を導入した。年齢や勤続年数ではなく、成果・挑戦・能力に基づいて報酬を決める仕組みだ。
報酬の「濃淡」を明確にしている点が特徴で、2026年度からは上位約3割の高評価者を対象に特別昇給(平均1万2000円/月)と特別賞与(平均40万8000円/年)を支給するなど、評価による処遇の差を意図的に設けている。
2025年度の実績では、最高評価を獲得した場合、月額換算で約8万5000円の賃上げとなったケースもあるという。
取り組みの成果も表れており、同社が公表したデータによると、若手管理職(40歳未満の管理職)の比率は、制度導入前と比べて約3倍に増加した。新卒の初任給も31万3000円から、博士号取得者は最大37万3000円に設定するなど、専門性を処遇に直結させる設計だ。
前述のキャリアアドバイザーへの相談では「評価が『S』でも『B』でも昇給額が変わらない」という声が多かったが、KDDIのアプローチは、がんばった人には明確に報いるという形で、この「横並び」への不満に正面から応えようとするものだ。
上司との1on1も制度に組み込み、評価の根拠を伝える場を設けている。この点も「評価が分からない」という若手の困惑への対策といえる。
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