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「GoPro」は「ルンバ」と同じ未来をたどるのか かつては世界一も中国勢に追い抜かれた背景(3/3 ページ)

アクションカメラで圧倒していたGoProが苦境だ。中国勢に攻められている様子は「ルンバ」と重なる。

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「ルンバ」と同じ歴史を繰り返すのか

 筆者が見たところ、大手家電量販店で販売しているアクションカメラはInsta360とDJIが中心で、GoProは目立たないところに置いてあることが多い。中国勢の両社が売れているのは、やはり価格が主な理由だ。両社は7万円以上のハイエンドタイプから3万〜4万円台の低価格モデルまで、幅広いラインアップをそろえる。GoProは3万円台のエントリーモデル「HERO」を販売するが、6万円以上のハイエンドモデルが中心だ。


GoProの「HERO」(出所:同社公式Webサイト)

 価格帯の差は主に電池寿命や手ブレ補正機能、防水機能の差に現れている。だが中国勢の低価格モデルでも4K画質を備え、カタログスペック上は1.5時間以上稼働する。アクションカメラ特有の広角撮影も可能だ。画質面でGoProを評価する意見も聞かれるが、一般向け用途なら大差ないというのが正直なところだ。

 中国勢はまず低価格で中国国内の市場を押さえ、コストを低減した上で海外市場を開拓した。アクションカメラ市場を開拓した後、中国勢に追いつかれたGoProの流れは「ルンバ」と共通する。

 米アイロボット社は2002年にロボット掃除機のルンバを発売し、パイオニアとして市場を開拓した。一時期はシェア7割を獲得したが、2010年代から低価格帯で攻める中国勢が台頭し始め、シェアを落とした。その後、この1月には中国メーカーの「杉川机器人有限公司(ピセア)」グループがアイロボットを子会社化している。

関連記事:『一時は世界シェア7割も経営破綻 「ルンバ」はなぜ中国勢に負け、買収されてしまったのか』

 アクションカメラもロボット掃除機も画期的な商品だが、イメージセンサーのように基礎研究を積み重ねるものではなく、既存の部品と技術を組み合わせた製品である。そして既存技術の活用や組み立ては中国の得意とする分野であり、人件費や調達コストを理由に他の国が勝つのは難しい。

 家電メーカーのように複数の製品を展開していれば、ブランド力を活用して一定の地位を維持できたかもしれない。だが、GoProは多角化にも失敗した。2016年にドローン事業に参入したものの、アクションカメラと同じくDJIに淘汰され、2018年に撤退した。

 GoProは近年の赤字で自己資本比率の低下が続き、2〜3月の株価は1ドルを下回った。上場した2014年には90ドルを超えていたこともある。NASDAQ市場では株価が30営業日連続で1ドルを下回った場合、上場廃止の対象銘柄となり、180日間の猶予期間で改善しなければ上場廃止となる。現在は再び1ドルを超えたが、予断を許さない状況だ。非常に買いやすい状態であり、アイロボットのように中国企業の軍門に下る可能性も見えている。

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


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